家を出る前に
夫が私に告げた
「これからどうするのか
ちゃんと考えろよ。
それと、アプリの相手だけど
かなり危ない感じするから
やめるんならさっさとやめとけ。
こっちにまで迷惑かけるなよ」
「はい… 分かりました」
そして夫は
私の方を見て小さくため息をつくと
会社に行った
子供たちも送り出して１人になると
さっそくアプリを開いた
すると
彼からいっぱいメッセージ
内容がどんどんエスカレートしていて
最後のメッセージは
「早く一緒になろう」
全身に寒気が走る
なにこれ…
完全に本気じゃないの…
怖くなった私は
すぐに彼をブロックして
アプリも退会処理した
ヤバい男だったんだ…
とりあえず
ネット上は逃げたけど
これで大丈夫か不安になった私は
またSNSで無我夢中で調べた
すると出てくるのは
ストーカーまがいのものばかり
アプリを消しただけじゃ
全然ダメなケースばかり目につく
恐怖でいっぱいになった
そして思い出した
アプリを始める前の言い訳
今になってみれば
その言い訳が全部当たっている
やっぱりやるんじゃなかった…
後悔してももう遅い
焦っていたら
夫の言葉が頭をよぎった
”こっちにまで迷惑かけるなよ”
そうだ…
夫や子供たちにも…
どうしたらいいか全く分からない
SNSで調べても
出てくるのは”転居して逃げた”話ばかり
私のせいで転居…？
そんな迷惑を
かけられるはずがない
警察は実害が無ければ
何もしてくれないらしいし
かといって
そもそも私は
彼がどこの誰なのかを知らない
逃げるにしたって
その行先さえ決められない
どうしようもなくなった私は
帰宅した夫に頭を下げた
「ごめんなさい…
あなたの言った通り
やっぱり彼は危ないみたいです…」
すると夫はこともなげに言った
「だろうな。
絶対ストーカーになる感じしたし。
だから、お前が出ていけよ」
「え…」
「目的はお前なんだから
お前が逃げればいい話だろ。
俺達を巻き込むなって言ったよな」
「あ… はい…」
「他に何か方法があるのか？」
「…」
「明日は休みだから
俺から子供たちに話す。
お前は何も言うな」
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遅過ぎた後悔 本気で好きだった 身体を許す時 歪んだ猜疑心