謝り続ける私


でも夫には全く響かない


「だって、もうお前
 俺のことATMとしか思ってないだろ?
 ただの同居人って思ってんだろ?」


「いえ… そんなこと…」


「この期に及んでまだウソつくのかよ。
 じゃぁ、なんで俺のこと拒否してんだよ」


「あ… それは…」

 

 

私はイライラを感じ始めた頃から
夫を拒否しがちになった

そんな私に
夫は無理に迫ることは無かったので
月に数回になっていた

さらに私がアプリを始めると

夫とは全くする気にならず
最近はすべて拒否していた



 あ…

 

 これもダメなやつ…

 

 

 

脳裏にSNSでよく見た
レスでの離婚話がよぎる



 レスなのに浮気って…

 

 もうダメだ…



絶望的な気持ちになったけど
それでも離婚だけは、と思い

ひたすら謝り続けた


「本当にごめんなさい…」

 

 

でも

そんな上辺だけの謝罪が

夫に届くはずが無い


「だからさ…
 何回同じこと言わせんの?

 謝ったってしょうがないし
 謝って済むことじゃないだろ。

 どうするんだ?って聞いてんの」



 どうするんだって言われても…

 そんなの分からないよ…

 

 

 

「お前さっき
 ”恋愛がしたかった”って言ったよな?

 つまりお前にとって
 夫である俺は恋愛対象じゃない、
 俺のことはもう
 好きでもなんでもないってことだろ。

 だから俺のこと拒否して
 同居人ATM扱いした挙句に
 アプリ使って相手探ししてたんだろ?

 もう終わってんじゃねぇか。
 俺たち夫婦はさ…」

 

 

そう言うと夫は
深くため息をついて天井を見上げ

しばらくすると呟いた


「まさかな…
 
 お前にまで裏切られるとはな…」


そう言って立ち上がると
寝室へ入っていった

 

 

 

1人残された私

テーブルに置かれた
自分のスマホを見つめて

ただ呆然としていた



 どうしよう…

 離婚なんて嫌だ…



ここまで来ても
私は反省なんてしていなかった

 

 

なぜなら

”俺のこと同居人と思ってるんだろ?”

は正解だったから


もう夫に愛情なんて無くなっていた


だけど
大切な家族であることは変わっていない

私にとって夫はそういう存在だった

 

 

だから頭にあるのは
”家族が壊れるのは嫌だ”
という思いだけ

夫に深い傷をつけたことに
気付いてもいなかった



どうすることも出来ない私


ただ途方に暮れていた

 

 

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