ベッドの中に入った私は
完全にパニックになっていた


 ウソでしょ…

 信じられない…


そして
さっきの夫の様子に違和感を覚える


 今まで平日に手伝ったこと無いのに…

 

 

”急に妻の機嫌を取り始める”

SNSで見た浮気の兆候が頭をよぎる


 そうか… そうなんだな…

 夫も浮気する男だったんだ…


気が付けば

声を殺して泣いていた

 

 

 

そのまま寝てしまった私

朝になり
横に夫がいないことに気付いた


 まさか…

 家を出ていった?…


慌ててリビングに行くと
夫はソファで寝ていた

 

私のあわただしい足音で
夫も目覚めた


「あぁ… おはよう」

「え… なんでここで寝てたの…?」

「なんか昨夜の君は
 ずいぶん疲れてたみたいだから
 1人の方がゆっくり寝られるかなって。
 ほら俺、イビキうるさいから(笑)」

「あ… そうだったの…」

 

 

夫が横にいないと分かった瞬間に
私の脳裏によぎったこと


”もう浮気相手のところに行っちゃった?”


勘違いだったと安堵したけど

そもそもの”浮気疑惑”が
晴れたわけでもない

完全に私の1人相撲だったことで
余計に夫に対して腹が立った

 

 

「紛らわしいことしないでよ…」

「あ、ゴメン。ビックリさせちゃった?」

「もういいわよ…」


もう夫と会話する気にならなかった

夫もそれを察したのか
その後は私に話しかけることなく


そのまま会社に行った

 

 

 

 何なのアイツ…

 どこまで自分勝手なの…


子供たちも送り出して1人になると
夫への怒りが込み上げてきた

ただでさえ
夫の”育児いいとこ取り”にイラついていた私

その上さらに”浮気”で
夫への怒りが頂点に達した

 

 

 

 絶対に許さない…



どうしたら一番
夫にダメージを与えられるか

そう考えだしたとき

頭に浮かんだ




 私も浮気して仕返ししてやる

 

 

 

 

以前から色々シミュレーションしてて
やるならここ、というアプリは決めていた


勢いのまま

マッチングアプリに登録した



ついに私は

”一線”を超えた

 

 

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