翌日
夫と子供たちを送り出すと


私はすぐスマホで調べる


”夫 浮気 スマホ 夜の着信”


検索すると
いっぱい出てきて

そのほとんどが
夫の浮気発覚のきっかけエピソード

無我夢中でその内容を読み漁った

 

 

色んなものを読んでいると


昨夜のケースと全く同じものが
いくつも出てくる

読んでいくうちに


 やっぱり夫は浮気してたんだ…


というものに変わっていった

 

 

次に調べたのは
夫のスマホをバレずに見る方法

色々あったけど
私ができそうなのは”夫の入浴中”


 よし 今夜確認しよう


SNSでよく見かける
”サレ妻”になり切っていた

 

 

 

そして夜になり

今夜も帰りの遅い夫が
お風呂に入る時間には子供たちは夢の中


 よし… 行ける…


夫がお風呂に入った瞬間に
スマホを手に取った

画面をタップして
暗証番号を入力する

 

 

 あれ…?

 

 スマホが開けない…


何度やっても同じ







 暗証番号変えてる…







この瞬間

”夫が浮気している”は
確信へと変わった

 

 

 

激しく動揺する私



SNSで調べているうちは
どこか現実味の無い


興味本位な感じだった


夫を疑いつつも
 

実際には”無いよな”という
思いの方が強かった


だから

予想外で心の準備が無かった

 

 

 

 ホントに浮気してるんだ…



暗証番号入力画面を見つめながら

私はそのまま固まっていた



やがて夫がお風呂から出る気配

その音で我に返った私は
スマホを元に戻して
また昨夜のように洗い物を始めた

 

いつものように
水分補給にキッチンへ来る夫

その姿をまともに見れない私


「どうしたの?疲れた?」


不意に夫に話しかけられた

「あ… あぁちょっとね…」

声が上ずっている


「無理しないで。
 俺がやっとくからもう君は寝なよ」

 

 

そう言うと夫は


私の手からスポンジを取り
シンクの前に立ち洗い始めた


「あ… ゴメンね、ありがとう」

「先に寝てていいよ。おやすみ」


優しく言われたけど
その夫の顔を見ることができなかった


「ゴメンね。おやすみ…」


逃げるように寝室へ行った

 

 

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