翌日
すぐに私は朝から行動


家に戻って荷造りをし
レンタカーで1BOXを借りてまた家へ

家具は不要だったから
私の仕事関係一式に衣類や私物を

手当たり次第レンタカーに詰め込む

 

 

 うん… こんなもんでいいや…

 

 残ったものは捨てるでしょ…


あっという間に積み込みは完了


 さてと… 次は…

 


そのまま役所に行って
離婚届をもらってきた

 

 

私の部分を記入して


結婚指輪と一緒に
リビングのテーブルの上に置く


「よし! これで完了!」


後悔なんか微塵も無い
 

夫への罪悪感なんて最初から無い

むしろ私は
清々しさでいっぱいだった

 

 

 

 これで障害は無くなった


 何の気兼ねなく
 彼に会うことができるんだ



とんでもない悲惨な状況なのに
私の心は真逆

完全に周りが見えなくなっていて

戻れない道を歩み始めたことに
全く気付いていなかった

 

 

 

気がかりが無いわけじゃなかった

それは

 

彼の正体


先日の夫とのやり取りは
完全に”その筋の人”だったように思う

だけど


彼の指は全部あるし
体もキレイだった


 大丈夫だよね…

 

 たぶん…

 

 

でも


どんなに彼の正体が気になっても
それを確認するなんてできない


”プライベートの詮索厳禁”

それが私達のルール


そんなことよりも

彼との関係が続けられる方が
私にとって重要だった

 

 

 

マンションに戻って荷物を運び込む

 

急いで適当に積み込んだから

何度も車と部屋を往復

 

 

 もっとちゃんと荷造りすればよかったな…

 

 

ボヤキながら汗をかいていたけど

私の顔は笑顔でいっぱいだった

 

 

なんとか運び込みを終えて

レンタカーを返して部屋に戻ると

もう陽は落ちていた

 

部屋に入り電気を点ける

 

 

昨日と違って

私の物が置いてある



ちょっとだけ

自分の部屋っていう実感がした



一段落してスマホを手に取る

そこには

昨夜から鳴り続けた通知の山


夫からはもちろん
両親からの連絡がいっぱい

 

夫はともかく
両親の連絡を無視するのは
少し胸が痛んだ

だけど

今の私の状況を
とてもじゃないけど説明できないし

たぶん両親は悲しむ



だから私は
 

 

両親もブロックした

 

 

 

 

 

 

 

これで私は


彼以外を失った

 

 

 

 

 

 

 

悲壮感は全く無かった

それよりも
これからの彼との時間が
楽しみで仕方なかった




無意識のうちに私は

退路を自ら断っていた




戻れない道を自ら選択した

 

 

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