あれからしばらくして
久々の先輩とのリモート打ち合わせ

今日は報告しなきゃと思っていた


「この前はありがとうございました」

「いえいえどういたしまして(笑)」

「あの後ホテル行ったんですけど…」


言いかけたら先輩にさえぎられた

 

 

「ダメだよ!秘密厳守!」

「え… 先輩ともですか?」

「当たり前でしょ。
 紹介した後は2人のものなんだから。
 たとえ身内であっても、だよ!」

「はい、分かりました…」

「まぁ、誰にも言えないから
 言いたくなる気持ち分かるけどさ(笑)
 でも絶対ダメだからね」

 

「は~い…」


すると先輩がため息をついた


「分かった。じゃぁ…
 解決したかどうかだけ教えて(笑)」

「聞きたいんじゃないですか(笑)
 結果は、無事解決しました」

「そう!良かったね~
 アイツでダメなら無理かもって思ってた」

「ありがとうございます」

 

 

「それと…

 1つ忠告しておくね」


「あ、はい」


「アイツあんな感じだからさ…
 まるで恋人みたいな感覚だったでしょ?」


「そうなんですよ!それで…」


「だからダメだって(笑)
 で、忠告っていうのはそのこと。
 

 勘違いしちゃダメだよ、絶対に!
 

 なんか私ちゃん、危ないんだよね~」

 

 

図星だった


知らないうちに
彼のことを思い出してしまう

もう彼を好きになっていた


「そうなんですよね~
 彼との時間が夢のようで」

「うわ、やっぱり」

「だから、なかなか連絡取れなくって…」

 

「いちおう自分でブレーキ掛けてるんだ」

「はい。せっかく”感じる”が分かったので
 ホントはもっと回数重ねたいんですけど
 もう1回会ったら、って考えると…」

「そうだね、その方が良いと思うよ。
 戻れなくなったら最悪だしね…
 もし彼が私ちゃんを好きになったとしても
 その先は、ね…」

「ですよね…
 だからどうしようか悩んでます」

 

「まぁ私から言えることは
 さっき言った通り”本気にならないこと”
 それだけだよ」

「そうですね、ありがとうございます」


先輩と通話を終えて


改めて自分が
彼のことを好きになっていると実感した


 前提は体だけの関係

 なのに…

 

 

スマホには彼の連絡先

そこを
何度もタップしようとして手を止める

そんなことを繰り返していた


あの夢のような時間が忘れられなかった


ベッドの上で私は
間違いなく彼に恋していた

 

 

 彼に好きだと言わなければいい

 でも


 そんな不毛な想いを抱え込みたくない


何度も何度も同じことを考える


もう夫のことなど

完全に頭に無かった



そんな葛藤を繰り返していたら

彼の方から連絡が来た

 

 

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