「お疲れ様~
 昨日はちゃんと帰れましたか?」

「はい!大丈夫です」

「コーフンして寝れなかったんじゃ?」

「ちょっと(笑)」

「やっぱり(笑)」


翌日も先輩とリモート会議
打合せ後に詳しい話を聞いた

 

 

「連れてった時も言ったけど
 あの店はセキュリティ万全だし
 会員になるのもハードル高いの。


 その代わり、非常識な人はいないから
 安心して遊べるんだけどね」


「そうなんですか。
 会員になるためのハードルって?」


「男女共通なのは、会員の紹介が必須。
 で、そこからいっぱいあって…」


聞いてみたら”なるほど”って感じだった

 

 

・会員からの紹介
・何か問題を起こしたら紹介した人も連帯責任
・免許証などで本人確認
・本人と夫の勤務先確認
・水商売や風俗勤務経験者はNG


 本人確認はともかく
 勤務先確認ってハードル高い
 

 夫の勤務先も確認するのか…

 でもそうすることで
 問題を起こしにくくさせるのは理解できる

 あれ? でも…

 

 

「私達ってフリーランスですよね?
 会員になれないんじゃ?」


「その場合は取引先確認するの。
 

 でも私ちゃんの場合、ほとんどが
 私経由だから取引先は私だね(笑)」


「あ、なるほど」


「一応こんな感じのはずだけど、
 その人によって条件変わるみたいだから
 やってみないと分からないけどね」


「会員になってからはどうなんでしょう?」

 

 

「大原則が金銭のやり取りNG。
 売春になっちゃうからね。


 あと、相手に自分の仕事の営業とかも
 絶対にダメ。
 

 そして、相手が嫌がることはしない。
 

 もちろん、秘密厳守は当然のことで」


「分かりました。
 あと、料金なんですけど…」


「う~ん…
 

 紹介しといて今さらなんだけど
 ここが一番ハードル高いかも」


「え?そうなんですか…」

 

 

「まず入会金で30万円。
 会費が月額10万円で
 バーの利用料金は1回5万円」


「えぇ?

 そんなに高いんですか…」


「高いよね(笑)
 でもこれ女性料金だけど、
 男性はもっと高いの」


「さらに高いって…」


「全部女性の3倍なの」

 

 

「…すみません

 眩暈がしてきました(笑)」


「だよね~(笑)
 だから”入りなよ”って

 気軽に言えない」


「どう考えても無理ですね…
 

 でも先輩ってスゴいですね。
 そんなに払えるなんて」


「いや、私は払ってないの(笑)
 お相手の方が負担してくれてるのよ。
 

 もちろんお店には内緒だけど、
 でもそういう人多いみたいよ」

 

 

「あ、そうなんですか…」


昨夜は期待に胸膨らませてたけど
”お金”という現実はどうしようもない

諦めていたら先輩から提案された


「だからね、私考えたんだけど…


 私の相手で信頼できる人を
 紹介しようと思うんだけど、どう?」


「え?いいんですか?」

 

 

「別に恋人じゃないんだから(笑)
 全然問題無いよ。


 私ちゃんさえ良ければ会ってみる?
 私も同席するからさ」


「ありがとうございます!」



先輩も一緒なら心強い

とりあえず会ってみることにした




”やめる”選択肢はもう無かった

 

 

 

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