私は
意を決して話し出した


「あなたを傷つけて
 本当にごめんなさい。

 今までの私は
 誰かに依存していないといけない
 ダメな女でした」


一瞬夫が反応した気がしたけど
やはり夫から話す気配は無い

 

 

 しょうがない 続けよう


「私はあなたに出会って
 本当に幸せでした

 付き合ってる時も
 結婚してからも
 

 いつもあなたの優しさに包まれて
 私はそれに甘えていました

 いつの間にか私は
 それを当たり前だと思ってしまいました

 

 私がシフト勤務になったときも
 あなたは無理してまで
 私を気遣ってくれました


 でも私は…

 あなたを気遣うことができなくて

 なんでこんなに苦しいんだろうって…


 あなたに言えなくて…


 そして私は
 他に救いを求めてしまいました…

 

 

 偶然出会った元カレの
 上辺だけの優しさに…


 わ、私は…


 縋ってしまったんです…」



話しながら泣きだしていた

そして元カレの話をした瞬間
号泣してしまった


夫は何も言わず聞いていた

 

 

 いけない
 ちゃんと話さなきゃ

 ちゃんと夫に謝らなきゃ


泣きながら続けた



「ただ私の体だけが目当ての
 そんな薄っぺらい優しさに
 

 私は依存してしまったんです…


 あ、あなたじゃなく…


 あんな男に…」

 

 

 

また号泣してしまった

でも夫は無言だけど
私が収まるまで待ってくれた



「そして…

 一番私が愚かだったこと…


 あなたから離婚を告げられて
 会社の上司に相談したら…

 そこでも私は
 上辺だけの優しさに縋ってしまった…

 

 

 あの男で分かっていたはずなのに…


 なのに私は…


 お、同じ過ちを…」



号泣しながら私は構わず続けた



「謝ってもどうしようもないのは
 分かってます…

 でも…

 

 私はあなたを傷つけた…

 あんなに優しくしてくれたあなたを
 私は裏切った…

 

 

 今さらどうしようもないのは分かってます

 でもあなたに謝りたくて…


 ごめんなさい…


 ごめんなさい…」



号泣しながら私は
最後は謝罪の言葉を繰り返していた

たぶん
ちゃんと話せてなかったように思う

 

 

夫はずっと黙って聞いていた


私から目をそらすことなく

泣きながら話す私を

黙って見ていた

 

 

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