水道光熱費込みで即入居可の
安い1Rを何とか見つけたので

ようやく引越ができた


結局持って行く家具は
私しか使わないような家電類だけ

それ以外は
申し訳無くて持ち出せなかった


だけど

私を感じさせるものは
全て持ち出した

 

 

カーテンやベッドカバー


私の趣味で決めたものや
夫が私のために選んでくれたもの


再びこの部屋に入った夫が
 

私を感じて不快にならないように


できる限り

私の痕跡を消した



だけど…
 

ソファだけはどうしようもなかった

 

 

これは結婚が決まって
2人で初めて一緒に選んだ家具

夫と私の意見が一致して
やっぱり気が合うねなんて言いながら


2人で一緒に店員さんに
「これください!」


結婚してから
いつも2人並んで寄り添っていた

夫も私もとても気に入っていた


このソファは
結婚生活そのものだった

 

 

 

ソファを見つめていたら

次から次へと
夫との思い出が蘇ってくる


結婚してから
どんどん夫のことが好きになっていった

あの感情があふれてくる



いつの間にか号泣していた

 

 

 

 …なんで?


 …どうして?



 なぜ私は夫を裏切ったの?

 

 

 

そして自分の涙に気付き

同時に

夫が私に不倫を知っていると告げた日

あの日の


泣いている夫の顔が浮かんだ

 

 

 

 ごめんなさい…


 悲しませて
 本当にごめんなさい…


取り返しがつかないことをしたと
自分の愚かさを嘆く私

そして


ようやく私は
自分が夫を傷つけたことを認識した

 

 

 夫は私が不倫していると知ったとき

 どれだけショックだっただろう

 どれだけ悲しかっただろう

 目の前に証拠があるのに
 それでも
 私を信じようとしてくれた夫が

 私の不倫現場を自分の目で見たとき


 どれほど打ちのめされただろう

 

 

 ごめんなさい…



どれだけ謝ったところで
今さらどうしようもない

時間を戻すことはできない

元には戻れない


夫への申し訳なさと後悔で
ただ泣き続けた

 

 

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