夫を失ったショックで
何も出来そうにない状況だったけど
 

次の部屋に引っ越すにも時間が無い


とにかく動かなきゃと思い
弁護士事務所に連絡した

担当弁護士さんは不在だったので
解約を1か月延長するよう伝えて欲しいと
事務員さんに依頼した


すると管理会社から
退去期限が約2か月後との連絡が来た

 

 

何とかこれで時間はできた


さっそく部屋探しを始めたり
荷造りを始めたりしたけど

肝心の離婚書類には
まだ手を付けていなかった


怖くて中身が見られなかった


でも
これをしないと先に進まないと思い
 

意を決して中を確認した

 

 

 

・慰謝料の請求は無し

・財産分与は無し

・家具等の共有財産は自由にして良い

・夫への直接接触禁止


要約するとこんな感じだった

慰謝料請求が無いのは意外だったけど
夫の最後の優しさかな、と思った

 

 

離婚届はまっさらだった


もう夫の方が記入してあるかと思ったので
ちょっと拍子抜け

ペンを手に取り
いざ記入しようとしたけど


そのまま
まっさらの離婚届けを前に

私は固まってしまった

 

 

 

書こうと思うけど


全く手が動かせない


 これを書いたら終わりなんだ…


そんな思いでいっぱいになり


ただ

”離婚届”の文字を見つめていた

 

 

そして頭の中に

私の犯した過ちが


彼と上司のことが浮かんできて


改めて

自分の愚かさを呪った



 何やってたんだろうな… 私

 

 

 

自分を責めてばかりいて

気が付けば小1時間ほど
固まったままでいた


 いけない… ちゃんとしないと


ようやく記入を始めた


書き進めるごとに
 

涙があふれて止まらなかった

 

 

涙が紙に落ちないようにと
慎重に書いていく


 これでいいかな…


記入を終えると
 

離婚届と離婚協議書に


ハンコを押した


完成した書類を見て
夫婦の終わりを実感した

 

 

 

返信用封筒に入れ
そのまま郵便局に向かい

ちゃんと送れるようにと
弁護士事務所へ書留で送った


 これで夫とは

 本当に終わったんだ…


分かってはいたけど
抜け殻のようになってしまった

 

 

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