「シフトのことは心配しないでいいよ。
 有給っていっぱい残ってるだろ?」

コトが終わると上司は
丁寧語からタメ口に変わった

「あ、はい。

 40日ぐらいあったと思います」

なんだかな~と思いつつ
私は今まで通りで話した

「じゃぁ1か月休んだらいいよ。
 その方がキリが良いし」

 

「ありがとうございます。
 ではそうさせていただきます」

「他人行儀だな~
 俺に任せておいてよ(笑)」


さすがに今度は
 

この時点で目が覚めていた


 コイツ…
 人の弱みに付け込んで…
 

 人のことは言えないけどクズだな…


同時に自分自身に腹が立っていた

 

 

 

 

 

 

 いくら酔ってたからって…

 

 

 何やってんだ私…

 

 

 

 

 

 

ようやく頭が回転し始めた私

誰もいない部屋に戻り
これからのことを考え出した

けど

上司に対する怒りが
メラメラと燃え出した


でもそれは


自分に対する怒りの
矛先を変えただけのことだった

 

 

この怒りは

 私がこんな状況になったのは
 あの上司のせい

 それに原因となる辞令を出した
 会社のせいなんだ

というものに変わっていった


この時の私は


周囲のせいにしないと
自分を保てなかった

 

 

”利用するだけ利用してやろう”

上司と関係を持った私は
むしろこれをネタに
会社に復讐してやろうとまで考えた


肝心の夫のことは


完全に頭から消えていた


というより
 

無意識に考えないようにしていた

 

 

 

また私は

一番大事なところから

目を背けた

 

 

 

私の長期休暇について
上司はちゃんと処理してくれた


案の定


その後何度もお誘いがあったけど


「夫と離婚騒動なのに
 今はちょっと…」

と言って逃げ続けた


やっぱり身体目当ての
 

正真正銘のクズだった

 

 

 

 

そんなくだらないことをやってたら


夫と向き合う日は

あっという間にやってきた

 

 

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