久しぶりの彼

ベッドの上でも相変わらずだった


丁寧に私を導く

まるで包まれるような感覚


彼の優しいSEXは

私の心も体も癒してくれた

 

 

 

 

 

 

だけど…

 

 

 

 

 

私は”一線”を超えてしまった

その事実が
彼と別れた途端に襲ってきた


 やっちゃった…


でも不思議と後悔は無かった

むしろ
彼のおかげで癒されたこと

その方が大きかったから

 

 

だけどさすがに

この日の夜は
夫の顔をまともに見れなかった


なるべく不自然にならないよう
疲れているふりをしてたら

「俺のために起きてなくていいから
 もう先に休んでいいよ」

と逆に気遣われてしまった

 

「ありがとう… おやすみ」

そう言って寝室へ行ったけど
胸が痛んだ


夫に不満なんてあるわけじゃない

だけど私は
夫以外に癒しを求めてしまった



そして

満たされてしまった

 

 

 

「これからどうしよう…」

布団の中で考えるけど
答えなんて出てこない

ただ
はっきりしていること


”絶対にばれちゃいけない”


この1点は明確だった

 

 

それとは裏腹に

彼からの癒しを
手放すつもりは全く無かった


この矛盾に自分でも気づいたけど

もうどうしようもなかった


彼との時間が素晴らし過ぎたから

 

 

 

やがて夫もベッドに入ってきた

全然眠れなかった私は
夫の気配を感じると寝たふりをした

そんな私に夫は
優しく私の頭をそっと撫でながら

「…いつもお疲れ様」

そう小さく言うと
私の横で眠りについた

 

 

危うく泣き出すところだった私


やっぱり私は
夫を愛している

その事実を改めて知ったけど…


どうしたらいいのか
全く分からなくなった
 

 

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