「今日カフェ行くけど来れる?」

「ご一緒させていただきます!
 ランチだよね?
 席取って待ってるね!」

まるで昔のようなやり取り

元カレはいつもこんな感じで
いつも私の先回りをしてくれてた


懐かしいな… この感じ

 

 

お店に行くと
宣言通り先に待っててくれた

「ありがとう。
 仕事は大丈夫なの?」

「俺はオーナーみたいなもんだから
 いてもいなくても一緒なの(笑)」

「なにそれ(笑)」


別れてから5年経つのに
あのころと変わらない雰囲気


やっぱ一緒にいると楽しいな

 

 

「そういえば子供はまだ作らないの?」

「デリカシー無い質問するね(笑)
 まぁまだそんな感じじゃないかな…」

「そうなんだ~
 俺んとこもまだだし一緒だね」

「え? 結婚してたの?」

「そうだよ。2年ちょっとかな」

独身だと思い込んでたから
ちょっと驚いた

 

「結婚してたとは意外でした(笑)」

「まぁお互い呼ぶ間柄じゃないしね(笑)」


幸せになってたんだと
 

ふった後ろめたさが少し消えた


「そっかぁ~ 良かったね」

「ふったこと気にしてたの?」

「そりゃぁ… ね…」

「全然大丈夫だよ。
 そんなんだったら声掛けないし」

 

 

ポジティブな男で良かったと
安心すると同時に

いつもこんな感じだったな~と
懐かしく思い出した


「まぁ子供は授かりものだし
 自然にできれば一番いいよね」

「あ… あぁそうだね~」


不意に最初の話題を蒸し返されて
 

ちょっと動揺してしまった

 

 

「ん? なんか歯切れ悪いね」


図星だった


実は夫はとても淡白で
ただでさえ回数が少ないのに

今のすれ違い状態のため
月に数回しかシてなかった

こんなんじゃ子供なんて無理…


「今の状況じゃね…」


思わず愚痴ってしまった

 

 

「そうだったね… ゴメンね」

「あ、いいよ気にしないで(笑)」


慌てて笑顔で取り繕ったけど
やっぱ不自然だったよね…


すると彼が

「ねぇ、この後時間ある?
 せっかくだから
 もうちょっとお話ししようよ」

「夕方までに帰れば問題無いから
 ちょっとなら大丈夫だよ」

 

 

食後のお誘いを
何も考えずOKした


いや

本音はもっと一緒にいたかった


元カレとの時間が昔のようで
あまりにも居心地が良かったから

もうこの時点で
元カレが”救いの手”に見えていた

 

 

 

 

 

この日


”元カレ”は


”彼”に戻った

 

 

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