「ありがとうございます。

 ”挫折”って感覚…
 確かに言われれば一番しっくりきます。

 自分の思い通りにならなかったことが
 初めてと言っていいぐらいでしたので…

 だから
 その感覚に戸惑った私は

 

 無意識のうちにそれを拒否して

 

 目の前にある楽な方へ…

 あぁ…

 そうだったんだ…」

 

 

「う~ん…
 ゴメンね、私の経験ではこのくらい。
 でも解決の助けにはなったみたい?」

 


「はい。ありがとうございます。

 

 ”挫折感”というキーワードで考えると
 私の異常な行動も理解できる気がします。

 

 そして…

 

 私が反省すべき点も…」

 


「反省すべき点?」

 


「はい。

 実はこれが分からなかったんです」

 

 

「そうか、

 

 なぜそうなったのか分からないから
 何を反省したらいいのかも分からない、

 

 ってことね?」

 


「そうなんです。

 

 でも、今思い返してみると
 夫も私の両親も
 ちゃんと私の悪いところを
 指摘してくれてました。

 

 だけど、

 そもそもどうして?だったので
 指摘自体が受け入れられなかった、

 

 いや

 理解できなかったんだと思います」

 

 

「じゃぁ今は分かった?」

 


「…分かったつもり、

 かもしれませんが

 

 以前のように雲を掴むような感覚じゃなく
 割と具体的になった気がします。

 

 たぶん、

 私が挫折を知らなかったために

 

 無意識に”自分は挫折していない”という
 否定する行動に出たんだと思います」

 


「なるほど、自己防衛本能ってやつね」

 


「はい、おそらくそんな気がします」

 

 

「だから自分でも信じられない、
 周囲からも理解しがたい行動に出た?」

 


「そう考えると全てが一致する気がします。

 

 それを前提に考えれば、
 私の過ちについてどうすれば良いのか
 その答えが見つかると思います。

 

 …あぁ~

 相談してよかったぁ~」

 


「そう、よかった。
 あなたのお役に立てたみたいで嬉しいわ。

 

 じゃぁ…

 私の相談も聞いてくれる?」

 

 

「そんな、先輩が私に相談なんて…」

 


「簡単なことよ。
 離れても、たまには会ってくれる?」

 


「もちろんです!
 会いたくないと言われても会いに来ます!」

 


「いやそれ、ストーカー(笑)」

 


「なんて言われてもいいです!
 お子さんにも会わせてくださいね(笑)」

 

 

 

考えてみれば

 

私がこの事業所に来てから
たった3か月ほどしか経ってない

 


だけど

 

とても濃密で

かけがえのない人に出会えた

 


私には奇跡のような3か月間だった

 

 

 

先輩のおかげで
これから私がやるべきこと

 


いや

 

やらなければならないこと

 


それがはっきり見えた気がした

それをしなければ
本当の意味で前に進めない

 

 

 

 

 

やっと私は

自分の過ちの後始末を始められた

 

 

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