夫や息子たち、

義両親に店長さん…

 

他にもいっぱい迷惑をかけた

 


私ができる償いって何だろう

 


夫や息子たちへの償いは

直接できないし…

 

でもだからといって
私が何もしないでいいとは思えない
 

 

私にできることって何だろう

 


反省するのは当たり前

 

精神的なものじゃなく
目に見える形で何かできないかな…

 

 

 

私は毎日同じことを考え続けた

だけど 考えれば考えるほど

 

「このまま私がみんなの前から消えること」

 

それが答えのような気がしてきた

 


ただ

 

文字通り「消えること」は選択肢に無い

 


そんなことをしたら
また家族を傷つけてしまう

私が家族への償いとして
そして私自身への戒めとして


私が自らに課すことを見つけないと…

 

 

 

約束の1か月まであと1週間

何も見つからないまま
もがいていた私のスマホが鳴った

 

 



義母からだった

 

 

 

 

「もしもし… 私さん?」

 


「はい… お、お義母さん…」

 


義母の声を聴いた瞬間
涙があふれて止まらなくなった

 


「本当に…
 本当に申し訳ございませんでした…」

 


「私さん… 分かったわ。
 もうあなたは十分罰を受けてるから。
 だから、もう謝らないで…」

 


「は、はい…」

 

 

以前と同じ優しい義母の声

久しぶりに義母の声を聴いて
申し訳ない気持ちが止まらなかった

 


「こんな私に…

 ありがとうございます。

 

 でもお義母さん…
 私は許されないことをしたんです

 

 夫や息子たち、
 それにお義父さんやお義母さんを…

 

 う、裏切ってしまって…」
 

 

号泣してしまった私は
まともに声を出すこともできなくなった

 

お義母さんは

私が落ち着くまで待ってくれた

 

 


「少し落ち着いたかしら?

 話しても大丈夫?」

 


「はい…

 せっかくお電話いただいたのに

 本当にごめんなさい…」

 


「いいのよ。

 それに私だって
 息子に内緒であなたに連絡したんだから
 お互い様よ…

 

 突然電話しちゃってごめんなさいね」
 

 

「いえ、とんでもないです。
 お電話ありがとうございます」

 

 

「それで、今日電話したのはね…
 もうすぐ期限の1か月になるでしょ?

 

 その1か月にした理由、
 あなたに教えなくちゃって思って」

 


「え… 理由、ですか…」

 


「でも電話してみて良かったわ、
 やっぱり息子の言う通りだったなって」

 


そしてお義母さんは
夫がなぜ1か月後にしたのかを教えてくれた

 

 

「つまり、夫は私を気遣って…」

 


「そういうことよ。
 だからさっきのあなたの様子で思ったわ。

 

 息子の言う通り、
 今の傷ついた息子の姿をあなたが見たら
 あなたは立ち直れないほど傷つくわね…」

 


「え… では夫もまだ…」

 


「そうよ。あなたと同じ。
 全然立ち直れてなんかいないのよ」

 

 


今すぐ夫のもとに行きたい

 

そんな衝動に駆られた

 

 

 

「今、あなた息子のもとに行きたいって
 思ったでしょ?」

 


「あ… はい」

 


「だから、やっぱり息子の言う通りよ。

 このままじゃ2人とも共倒れするわ」
 

 

お義母さんは全てお見通しだった

 


「時間はかかるかもしれないけど、
 ここできっぱり終わらせましょう。

 

 それがお互いのためだと思うわ。


 孫たちにもその方が良いと思うの」

 

 

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