「昨日、大丈夫だった?
 なんかすごいはしゃいでたから…」

「あ、うん… 騒ぎすぎちゃったね…
 ゴメンね、いつも迷惑かけて…」

 


心臓の音が聞こえる

 


彼くんの優しい言葉

私の大好きな声が
今は私に突き刺さる

 

 

「大丈夫ならいいけど…

 

 あんまり心配させないでよ…」

 


あ…

やっぱりそうだよね

男連れだったから
そりゃ心配だよね…

 


そう思っていた私だけど

 

次の彼くんの言葉で
私は固まった

 

 

 

 

「あの後…

 どこに行ったの?」

 

 

 

 

彼くんにそう聞かれた瞬間

 

私は固まってしまった

 


何か言わなきゃいけないのに
声が出なかった

一瞬で昨夜の出来事が
私の頭の中を駆け巡る

昨夜の後悔が襲ってくる

 


どうしよう…

 

 

 

電話越しだけど
 

そんな私の様子を

彼くんも感じ取った

 



「え… そんな…」
 

 

 


あぁ…

バレちゃった…

 

 

 

 

彼くんの声を聴いて
私は泣き出してしまった

 


「ゴメンなさい…

 ゴメンなさい…

 そんなつもりじゃなかったのに…

 嫌だって言ったんだけど…

 彼くんの名前を呼んだんだけど…

 ゴメンなさい…」

 

 

彼くんからの返事は無く

ただ

沈黙の時間が続いた

 

 

 

 

重い沈黙を破ったのは彼くん

 

 

 



「ゴメン…

 

 やっぱムリだ俺…

 

 許せそうにないよ…」

 

 



私は号泣した




「今までありがとう。


 子供でゴメンね…」

 


そう言って

 

彼くんは

 

電話を切った

 

 

 

 

 

 

終わった…

 

 

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