お手伝いを許された私たちは
結局そのまま泊まり込んだ

夫も受け入れてくれた

こんな形になるとは思わなかったけど
また「家族」になることができた

 


久しぶりに3人の空間

 

 

夫は以前のように
私たちをいっぱい笑わせてくれる

娘もいっぱい甘えてる

 

 


家族団らん…


私が壊しちゃった
「普通の家族」の時間…

 

 

 

痛み止めが効かないときは
私がさすってあげたりした

ふと夫が口にした

 

「暖かいな… ありがとう…」


涙が込み上げて
こらえきれなくなった


「ごめんなさい… ごめんなさい…」

私は泣きながら夫をさすり続けた

 

 

夫は何も言わず
 

私の頭を撫でて
 

そのまま私の腰に手をまわした



私が夫を絶望させた夜
 

あの日以来のスキンシップ



夫の手の暖かさが伝わってくる


 

夫との大切な時間…

 

 

 

 

 

 

 

それからしばらくして

夫は旅立った

 

 

 

 

 

 

 

夫が「いよいよ」となった頃から
マンションを引き払うまで

ほとんど憶えていない

いっぱい泣いた気もするし

ひたすら夫に謝っていた気もするけど

その全部が断片的で
なんだか現実味が無い

 

 

 

今も

夢の中にいるような感覚

 

 

 

空っぽになった私だけど

昼夜問わず
突然こみ上げる後悔と自己嫌悪

ただひたすらあふれ出す涙


そのたびに
夫との色んな思い出がよみがえって

また後悔の涙があふれる

 

 

 

私は

最愛の人を裏切り

その人を絶望の底に沈めた女

 



どれほど後悔しても戻らない


私は

この後悔とともに生きていくしかない…

 

 

(終)

 

 

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