その晩
リビングで夫とTVを見ていた時

もう娘が寝たのを見計らって
夫が私に触れてきた

 


セックスは拒否していたけど
こういったスキンシップは受け入れていた

 

だからいつものように
私は特に反応することはなかった

 

 

私に触れながら夫が話しかけてきた

「ねぇ…」

 

「ん?」

 


「久しぶりに… しない?」

 


その瞬間

 

私は条件反射で夫の手を払いのけた

同時に嫌悪感を抱いた私
私の払った手は力一杯だった

 

 

「なんだよそれ…
 結局そうなのかよ…」

夫は茫然としながら言葉をつづけた


「10年以上セックスしてないって
 拒否するのに何で言うの…」
 

 

 


そこで初めて

 

私は自分のミスに気付いた

 

 

 

 

しまった

 

これはマズイ…

 


自分のミスに気付き固まる私

 

茫然と私を見る夫

 


しばらくすると
夫は無言で立ち上がり

着替えてそのまま家を出ていった

 

 

 

 

その晩

夫は帰ってこなかった

 

 

 

 

翌日

 

夫は戻ってはきたけど
完全に私を無視するようになった

 


夫からすれば当然の反応

 

 

だけど当時の私は

 

「めんどくさい男だな。
 浮気してるくせに何やってんだ」

 

と心の中で逆ギレしてた

 


相変わらず私の反省は一瞬で終わってた

 

 

 

戻ってきて1週間もしない朝

起きてこない夫に
しびれを切らして部屋に行くと

 

そこに夫の姿は無かった

 


私に何も言わず

 

深夜に身の回りのものだけまとめて

 

 


夫は再び出ていった

 

 

 

この期に及んでも私は

 

夫のことを「ホントにめんどくさい男」
と思っていた

 


メンヘラONの瞬間に

 

以前に抱いた夫への申し訳なさは消え失せ

今まで自分がしてきたことを棚に上げ

 

夫が浮気していると思い込み

自分のこれまでを正当化して

なお夫を責める気持ちしか無かった

 

 

 

 

 

夫が私から離れていくなんて

思いもしなかった

 

 

【BACK NUMBER】
遅過ぎた後悔 本気で好きだった 身体を許す時 歪んだ猜疑心

初めての挫折 優しさの罠