夫はうつ病から順調に回復していき

 

主治医から復職許可が出て
あとは産業医面談、という時に

 



夫が倒れた

 



慌てて救急車を呼び

 

病院でいろんな検査を受けた後
当直医から告げられた

 


「腹部に巨大な腫瘍があります」

 

 

即入院の夫は
翌日から検査の連続と完全絶食

 

緊急検査が終わった入院10日ほどたった頃

夫と私は
専門医から検査結果の説明を受けた

 


・10万人に1人の難治性希少がん

 

・レントゲンやCTでは映らないので
 巨大化してから発覚が多いがん

 

・各種検査を実施し最短で手術

 

・手術が成功しても術後の
 抗がん剤次第なので余命は不明

 

・手術しなければ1年持たない
 (普通のがんに例えるとステージ4)

 

 

 

 

 

夫が…

 

 

 

 

 

あまりのショックに頭の中は真っ白

 

夫が「がん」になるなんて…

 

告知を受けた日は
どうやって帰宅したか覚えていない

 


その後も手術ができるかどうかの
検査を連日のように受ける夫

点滴でしか栄養補給できない夫は
みるみる痩せていき

常に襲ってくるがんの痛みを
気休めの痛み止めでしのいでいた

 

 

でも夫は明るく振舞い続けた

 


「やっぱりなぁ~
 俺がうつ病になる訳ないと思ってた
 これが原因だったんだな~」

瀬戸際にいるはずの夫は
そんな悲壮感なんて微塵も感じさせず

逆に私や娘を気遣った

「ごめんな。でも絶対大丈夫だから」

 

夫が私たちに心配させまいと
気丈に明るくしているのが
痛いほど分かった

 


私も夫の前では明るく振舞った

 


ちょっとでも気を抜くと泣き叫びそうになる
でも頑張って耐えた

夫が頑張っているのに
私が頑張らないでどうするって

 

 

付き添いの必要は無いから
面会後は帰宅する

一人で家に帰った後
娘に聞かれないように

毎日 声を押し殺して泣いた

 


どうして?

 

なんで夫が?

 

 

 

 

 

私のせい?

 

 

 

 

 

そんな訳ないと思いつつ

 

自分のせいだと自分を責めた

 


言いようのない悲しみ

 


私の精神は
あっという間に崩壊していった

 

 

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