早く叔父さんにお金を返したかったけど
そんなあてはどこにも無い

夫は休職中だけど健保組合から
給料代わりの傷病手当がもらえたので
生活はなんとかできている

 

でもボーナスが無いので
今までのような生活は無理だった

 


しかも娘の進学を控えていた

 

入学金や授業料…
どうやってもお金が足りなかった

 

 

どうしようかと思っていると
銀行のDMが目に入った

サラ金じゃないけど借金か…

もうクレジットカードは作れるけど
夫は自己破産したことがあるから
こういうのは無理かな…

そう思いながらも
とりあえず夫に相談してみようと思った

 

 

夫も自分がうつ病になったせいで
娘の進学費用は大丈夫か、と
考えていたようで

 

銀行のDMを見せたら

 

「試しに申し込んでみよう」

 


結果はまさかのOK

融資枠は500万円もついた

 

 

改めて
夫の激務のおかげだと感謝した

 

 

速攻で叔父さんに返済した

入金後すぐに叔父さんから連絡が来たけど
お礼だけ言って電話を切った

娘の進学費用も目途がついた

 

 

だけど借金だよね…

 


返済の足しにしようと
私は久しぶりにパートに出ることにした

 

 

夫と一緒になってから
短期間の手伝い程度ぐらいで
ほとんど専業主婦だった私

何のスキルも無いので
清掃や皿洗いくらいならできるかな…

 


幸いなことに人手不足のおかげで
近所のファミレスの清掃おばさんになった

 

 

張り切って働きだした私
仕事をするのがとても楽しく感じる

「こうやって働いていないから
 あんなことしてたのかな…」

 

なんてこと考えながら汗を流してた

 


ところが仕事にも慣れた頃
下腹部に違和感を感じるようになった

それに
尿の出がとても悪くなってきた

 

 

不安になって病院に行ったら

 

婦人科専門病院を紹介された

 


診察後にお医者さんから

 

私は婦人病の一種になっていると
とても険しい顔で告げられた

 


病名を告げられ

 

どうやら普通は年齢によるものらしいけど
私の場合は原因が違うようで

 

夫婦生活のこととかを色々聞かれた

 

 


そこで理解した

 


彼のせいだ…

 

 

 

あれだけ責められたら
そりゃそうなるよね…

自分が蒔いた種だけど
心底悲しくなった

 


お医者さんからは
当然のようにセックス禁止が言い渡され

 

「手術しなければ完治しない婦人病。
 だけど手術しても元通りとは…」

結局
私は手術しないことになった

 

 

 

 

坂道を転がり落ちるように

 

どんどん落ちていく私

 

 


私は「女」として終わったんだ…

 

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