完全拒絶からしばらくたった頃
夫の「目」が元に戻ったことに気付いた

 

それに探りを入れられるような言葉も無い

「もう大丈夫かな?」

 

そう思った私は彼との逢瀬を再開した

 

もう我慢の限界だった
とにかく彼に会いたくて仕方が無かった

 

 

 


…今思えば
ここで我慢しておけばよかった

ここから私と彼の歯車が狂い始める

 

 

 

 

久々に会った彼

いつもなら何事も無かったかのように
私を受け入れるのに

 

珍しく「どうしたの?」と聞いてきた

 


どうやら彼も私の焦ったメールを見て

 

「もしかしてバレた?」

 

と思って警戒していたそうだ

 


私は完全拒絶の夜と翌朝のことを話した

 

「やっちゃったね(笑)でもしょうがないか」

 

と笑いながらだけど
彼はその後の夫の様子を何度も確認した

 


そしていつものように
私は久々の幸福な時間を堪能した

 

 


だけど…

 

 


さっきの彼とのやり取りで
気付いてしまった

やっぱり私の一人芝居だったな、って

 

 

彼を愛しているか、というと
正直よく分からない

夫と出会う前は本気だったのは事実

 

でも夫と再婚した後は
完全に「身体だけ」の関係だったから

 


抱かれている時はとびきりの幸福感

 

だけど
さっきの彼とのやり取りで

 


私の気持ちは完全に冷めてしまった

 

 

完全拒絶の話をした時に
懲りずに淡い期待を持ってたのは事実

 

でもやっぱりそうだった

 


現実的に考えれば
たぶん私は彼のセフレの1人に過ぎない

 


その証拠に

今までの彼は私に関心が無かった

 

なのに今回のバレそうな時

 

自分に被害が及びそうな時だけ関心を示した

 

 

本当は彼が離婚できないことを知っていた

 


彼は社長なんだけど

 

「家族とバイトだけでやってる会社だから
 社長だなんて恥ずかしくて言えない」

 

と彼は考えてて
自己紹介するときは「自営業」と言ってる

その会社は彼の奥様のお父さんのもの

 

彼は「婿養子」だから
実質は奥様の方が立場が上

 


つまり
彼は離婚したら全て失っちゃう人

 

 

だから
彼が離婚することは絶対に無いから

 

最初から彼との未来なんて無かったんだ

 


でも出会ってしまったから

 

彼との幸福感を知ってしまったから

 


私は本気で好きになった

 


だけど今回のことで分かった

 

彼に抱かれる幸福感を
私が「愛」と勘違いしてただけだって

 

 

夫と出会って
彼のことは終わらせたつもりだったのに

彼はいつでも受け入れてくれるから
何かあると舞い戻ってしまう

 


彼に依存してしまう

 


「愛」を確認したくなってしまう

 


それが幻だと気付いてしまった私

 

一瞬で気持ちが冷めた

 

 

 

 

もう終わりにしよう

 


遅すぎる決心をした

だけど
彼に依存している私が
自分で終わらせられるかな…

終わらせる術も見当たらなかった

 

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