やっぱり彼は上手だった


私の身体をよく知る彼
 

どうすれば私が喜ぶか
ぜんぶ分かってくれている


彼が楽しく私を導く


私もそれに応え
 

思いっきり乱れた



この夜私は

久しぶりの感覚を楽しんだ

 

 

 

 

「…スゴかったね(笑)」


「ホント…
 久しぶりで…」



ぐったりしている私に
 

彼が私の背中を撫でながら問いかける



「いっぱいイって満足?」


「あっ…

 大満足です…(笑)」



彼の指に軽く痙攣する私の身体



 あぁ…

 

 やっぱいいな…

 

 

 

余韻に浸っている私とは対照的に

 

彼は私から手を離すと

心配そうな目でつぶやいた

 

 

「これで解決するといいけどな…」


だけど私は
久しぶりの感覚が嬉しくて
 

不安気な彼の言葉の意味に気付かず

明るく言った


「こんなにいっぱいイったんだから
 大丈夫だと思いますよ(笑)」


「確かに(笑)
 する前と後じゃ大違いだな」

 

 

「もう大丈夫です!
 ありがとうございました」


「いや…
 お礼言われるってなんか…」


「あ、そうですね(笑)」


「まぁ、お互い全く気持ちは無いから
 そういう感覚になるのも分かる(笑)」


「でも、本当に感謝してます」


「だからお礼はいいから(笑)

 あ、もうこんな時間だ。
 シャワー浴びておいでよ」


「あ…

 まだ動けないです…(笑)
 お先にどうぞ」


「そうか…」



彼はまた心配そうな目になり

 

まるで後ろ髪を引かれるように
シャワーに行った


だけど私は

 

そんな彼の様子を気に留めることなく


まだ身体に残る余韻を楽しんでいた

 

 

 

 

「じゃぁ別々に出よう。
 気を付けて帰れよ」


「はい。

 ありがとうございました」


「お礼はいいってば…(笑)」



彼から遅れてホテルを出る

久しぶりの感覚のおかげで
私は上機嫌で駅まで歩いた



 やっぱ彼のSEXって

 

 気持ち良かったな…

 

 

 

だけど

 

しばらく歩くと


たった今
自分は浮気したことに気付き

猛烈な罪悪感が襲ってきた



 そうだよ…

 物足りなさを

 解消するためだけど…


 やってることは

 ただの浮気じゃないの…

 

 

 

そして後悔が襲ってきた



 やっちゃった…


 何やってんの私…

 とてもじゃないけど
 このまま夫の顔なんか見れない…




おそるおそる家に帰ると


夫はまだ帰ってなかった



 よかった…

 

 

 

夫がいないことに安心し
 

部屋に行き着替える


肌着だけになったとき

さっきの感触が蘇ってきた



 気持ち良かったな…

 やっぱり私って…



夫への申し訳なさと自己嫌悪
 

 

それとは裏腹な自分の身体



 私って…

 

 いったい何なのよ…

 

 

 

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