中村天風「盛大なる人生」4-2 | たった1分で相手をやる気にさせる話術ペップトーク

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中村天風「盛大なる人生」
第四章② 我が人生観
《ポイント》
カリアッパ先生は天風に天の声を聞かせようと滝のゴーゴーと耳が聞こえなくなる場所を選んだ。
天)「瞑想の第一条件は心が静かに安定していなきゃいけないでしょう、なぜもっと静かな場所で修行させてくださらないのですか」
カ)「天の声を聞かせてやろうと思って。鳥や獣や風の音を聞こうと思って、その音をつかまえる気分を出してごらん。それからだ、天の声は」
天)「鳥や獣や虫の声は聞こえますが、先生のおっしゃる天の声はどうしても聞こえません。」
カ)「どんな音を耳にしても、心がそれを相手にしないと、その時の天の声がわかってくるんだよ。」
何日も取り組むが全く聞こえない。やけくそになって仰向けになって空を見ると、愉快な形の雲が漂っている。その時雲の漂いの中に入って無心でいる自分に気づく。「あっこれだ!」刹那の悟りを心に感じる。
天)「ふーっと気がついたら無心でいた。無心でいたとき無心でいた時に天の声が聞こえません」
カ)「聞こえているいるのに聞こえない、それが天の声なき声だよ。」
と言って、その後天風は天の声を聞くことができるようになる。
カ)「心にまで迷惑をかけるな。心に迷惑をかけたくなければ、折りに振れ心に天の声を聞かすようにしろ。つまり声なき声のあるところこそ、心の本当のやすらぎの場所だ。たまには心を休ませてやれ。そうすると心はすぐに本然の力が命の中で働きだすようにしてくれる」
カリアッパ先生から尊いことを心にささやかれ天風は涙をボロボロと流し、以後心をただ天の声と同化させることだけを、おリアルごとにやった。
【天風の人生観】
人生というものは、忍苦の、あるいは忍耐のというような難しいことを主張するよりは、現在の自分の生きている命に喜びを多く味わわせる、そこに真の生きがいがある。
楽しいと思う心は、どんなに辛い、苦しいことがあっても、それを辛い、苦しいと思わない。楽しいという心のあるときには、辛い、苦しいという心は同居させない。

《感想》
天風が確固たる人生観を確立した瞬間のお話。心の中からいっさいのものを追い出し、無心になったとき天の声なき声を聞くことができた。この境地こそ、心が本当に安らげる場所であり、本来私たちがもっている力が命の中で働きだす。これを天風はカリアッパ先生に手伝ってもらいながら気づくことができた。心の置き所ひとつで人生が変わるのだと深い感銘を受けた。