公園のような住宅に住みたい  ~それがなんと「団地」という選択~ | 世の中ウオッチング

世の中ウオッチング

世の中のチョット気になる出来事を観察してシニアから一言。面白い、楽しい事ばかりでなく、「問題だね、おかしくない?」も拾い上げて行きます。
 ノンシャランに、お気楽に が基本です。

 現在住んでいる公団住宅が分譲されて40数年。戸数1000戸の郊外大規模団地である。そのまま住み着いてしまった。公団住宅初期の昭和30年代半ばは、リビング・ダイニング文化創造のモダンな憧れの住まいだった。しかし高度成長期に遠・高・狭と揶揄され団地のイメージは一気にダウン。当団地はそれらを払拭する実験的試み団地の一つだと聞いていた。テレビドラマ『金曜日の妻達』の舞台になったとかの風評も。何の番組だか、TVドラマの撮影をよく見かけたのは確か。

 “住めば都”の言葉通り愛着も湧いてくる。が、困ったことに妻は今も「団地は嫌」と公言して憚らない。

 分譲当初は、住民の多数は、地方出身のそこそこ名の知れた会社の30代サラリーマン。だが、出世するにつれ、次々と周辺の戸建て住居に脱出していった。ここに居残っているのは、経済的甲斐性無し故に仕方ないのは確かであるが、住み心地が良い所為もある。

 住民の誰もが自慢するのは緑が豊富なこと。公園もどきといえるかも知れない。住棟の足元には季節毎に花を咲かせる草木が、住棟は程よい間隔で芝生の庭と2階の屋根まで届く木々。オマケに自然林まで残っている。専用庭には小鳥が飛んできて赤い実を啄んでいる。眺めていて退屈しない。だが樹木の管理に年間2千数百万の費用負担は痛い。だから、手の届くところは自分達で手入れをする。月にⅠ度のクリーンアップ・デイは通路脇の草花の手入れと低木の剪定が目的だが、自然とお隣同士会話が弾む。

 住宅公団が最初に作成してくれた規約や住民組織はよくできている。従って住民間でスムーズな管理ができる。管理組合、自治会、老人クラブなどの役員は順番に回ってくるが1~2年間の任務だから耐えられないことはない。むしろ役員を経験することで団地内の集まってくる情報に触れ、知り合いも自然と増える。

 そして何よりのメリットは団地内にテニスコート、公園・広場と管理人駐在の集会所があること。集会所があるお陰で会議も趣味のサークル活動や飲み会も安価にかつ気軽に開催できる。住民がプロデュースした落語会やコンサートも開かれる。健康のために「社会参加すべし」と強調するまでもない。集会所がコミュニテイの拠点としてこれ以上ない存在となっている。

 人口が集積しているから団地傍にバス停ができる。朝夕はバスが数珠つなぎで待つ暇もない。最寄りに商店街もあり、デパートや専門店、図書館も近い。難点はネット通販に押されたのか、書店が撤退してしまったこと。逆にクリーニング店、医者、歯医者は過当競争が心配になるほど多い。

 だが快適な団地暮らしも手放しで楽観できない。建物の老朽化と住民の高齢化が着実に進んで居るからである。お一人様住戸も増えている。放置すれば都会の中の限界集落に成りかねない。自分は逃げ切れる等と安易に考えず、次世代向けに備えをすること。「どうする家康」と言っているだけでは課題は解決しない。頭が痛い!!