自宅から最寄り駅までⅠキロ強。健康を理由にバスを使わず、歩くことに努めている。
が、口惜しい事がある。歩いている途中でどんどん追い抜かれるのだ。それも若い男性なら致し方ないと諦めるが、中年のおばちゃんにまで置いていかれる。
歩きながらあれこれ理由を考えてみる。先ず思い浮かぶのが、体内感覚速度がゆっくりに慣れているのかもしれない。股関節を痛め、杖をついてモタモタ歩いていた時期がある。その後、人工股関節置換手術をしたのだが、そのモタモタ時期のスピード感が体内にしっかり記憶として残っていて、習慣化しているのではないかということ。自分の脳に聞いてみたい。
本筋は、歩き方に問題があると考えるべきだろう。足の回転速度が鈍いのか、歩幅が狭いのか。追い抜かれた際に、追いかけて他人と自分を比べて検証してみる。
当然両方に問題があることがわかる。回転速度を上げようとするが、息苦しくなって続かない。歩幅は、「マンホールの蓋を跨ぐ程度が適切」と何かの本で読んだ。マンホールの蓋が目に入る度に試してみると、少し無理して気張らないと、かかと部分がマンホールの蓋を踏んづけている。歩幅が狭い、つまりは股関節が硬くて開いていないということ。また膝から下が伸びていないということでもある。軍事パレードの歩行姿勢をイメージしながら、手を思い切り振って大股に歩いてみる。
次にお尻の筋肉を意識して動かすようにしてみると、気のせいかスピードが上がるような気がする。これでよし!
抜かれたら、置いていかれないようにこれまで学んだことを意識しながら必死について行く。若い女性の場合、後を追いかけて怪しまれるといけないから、後ろではなく斜め横に、或いは少し離れた位置を取る。
歩き方ばかりでなく、身体そのものが固くなっていると自覚しているので、ストレッチにも精を出す。そのためのテキストも準備をした。こうして人知れず努力をしているが、毎日だと疲れるので程ほどに留める。
周囲の同年配のシニアに聞いてみても、追い抜かれるのは普通のことらしい。半ば諦めつつ、無理なく行う。それがシニアの知恵というものであろうと、自分を納得させている。