蝶ヶ岳を歩くのは二度目。


前回は常念岳からの縦走路でむかった。


なんかいも森林限界を越えされては下されての苦笑いが頬っぺたにはりつくコース。


そんな山行を思い出しながら、蝶ヶ岳単体へ歩きはじめた。


コースは整備されていて、下山の際もきついくだりではなかったと記憶している。


でも一度歩いたからと言って、今回も歩けるとは鼻っから思っていない。


前回はヒュッテに宿泊して貴重な話を聞いた。


夕食のあとは必ずどの山荘でも談話室に座り、ビールを飲んで、今日を振り返り明日を想像した。


そうしていると誰かが相席になって山の話に盛り上がる。


その夜は旦那さんが山岳ガイドで奥さんは山好きのお二人と会話を交わした。


奥さんは体力が落ちてきて、大きな石に立つのもバランスがとれなくなりそうで怖いと言う。


旦那さんに先に行くように話すけれど、それは実行された日はない。


歩けるようになるのを待つのがいい。

時間の経過はおなじだから。


相棒もそうだ。


たまにペースメーカーになってもだいたいは後ろを歩いている。


速いとも遅いとも言わない。


ヒュッテの食堂にこんな一言が掲げられている。



果たしてそうだろうか?


僕たちはまたここに来ているし、出会った人たちは覚えている。


山に行けなくなって数年が経つあいだに、トレーニングはしていた。


休憩をしない歩き方。

またできればさほどの苦労はないだろう。


お互いの位置を捉えてこつこつと登る。


僕の人生のなかでもっとも大切な時間は、山を相棒と歩く時間であり、自分を見直す機会だ。


嫌な性格をいくつも削ぎ落として、たくさんの山を汚してきたのだろう。


不治の病を捨てたくても僕から離れてくれない。


でも、僕より生命力は弱いだろう。


相棒が後ろから、もう少しだよ。と声をかける。


ふと見上げた先に、未来が見えた。

きっと僕らを抱きしめてくれる未来が。


蝶ヶ岳は標高が2700メートルくらいだから森林限界を越えるかそうでないかの植生。


こまくさが咲いているといいけれど。



風が凪いでいる。

頬を引っ叩たくやつではない。


砂礫帯に向かう。


あったこまくさ。

昼寝をしているように無防備にしてる?



季節に恵まれてたのかな。


ゆっくり山頂へむかう。



はぁ、とため息を吐いた。


それは疲れではなくて、北アルプスの山々のすがたにつかされた。


強く握手をした。


ありがとうな。と相棒に言う。


ばか、こっちのセリフだよ。


少し休憩をいれて下山にむかった。


君さあ、まえより石の飯を食ってない?



ゴジラ


お土産も。



なぁ。と帰り道の温泉で話しかける。


もう一座、行こう。


って。