ぼくらの通年行事は年が明けて寒さが鋭さを研ぐ頃に、陣馬山から 高尾山への縦走だった。
高尾山口駅の駐車場に車を停めて電車とバスを乗り継いで、民家のほとりの登山口を歩きだす。
陣馬山にいちばんちかいところだからかはじめからやたらとキツい。
水平道はほとんどなくて、山頂に近くなると雪が薄く残っている。
自衛隊員が担ぎ上げた防火用のドラム缶は凍っていて、叩くとゴンと低く鳴った。
ぼくらは夏の北アルプス縦走に備えてこのコースを好んで歩いた。
自由に北アルプスへいけなくなって数年が経つけれど、その間にいろいろと考えた。
いくら雨粒に叩かれても飽きずに行くのは相棒との時間がとても大切だからだ。
高尾山を下りる目前に、なぁ日帰りで北アルプスに行こうよ。と言った。
ふっ、と深い優しさの息が聞こえた。
どこにいつ行くのかを決めていると、楽しいまま下山していた。