小千丈を過ぎたあたりから急激に歩速が遅くなって相棒を先に行かせた。
高山病かな、やけに眠いし。
進んでは休みを繰り返すと相棒が山頂ちかくで待っていてくれたので、一緒に登頂をした。
濃いガスが襲うなかで昼飯の準備をしていると、女優2名と撮影隊が小屋の方角から登ってきた。
当時は山ガールブームもありテレビではよく特番が組まれていた。
相棒に撮影やってると伝えても昼飯のほうが大切のようで、ちらっと見ただけで興味を示さなかった。
下山をしてバスに揺られると相棒はすぐに寝てしまった。そのままにしておくと急峻な山肌にオスのにほんかもしかが鹿の王みたくこちらを見下ろしていた。
カーブに遮られてすぐに見えなくなって、この話はバス停に着いてからにしようと決めた。
えー、それは羨ましい。
俺も見たいよ。と相棒はぼやいた。
数週間後にテレビ東京の山番組があると知り、画面を眺めていると僕がいた。
おまえ〜なにこれ高山病でバテてたのに?
なんで主役級なの?
かもしかまで見てさ。
数年後になってニホンカモシカに遭遇したのは日向山だった。
売店に行くとおじさんがそこを登るとカモシカが居ると教えてくれた。
雌のかもしかがハート型のお尻を見せたり、こちらを眺めたりしながら微妙な距離を置きながらうろうろと餌を喰んでいく。
日が暮れる前にお帰りなさいと言われた。
これ以来、ニホンカモシカは見ていない。
そろそろ低山から再開しようと思う。
