風の音に目覚めた翌朝。
雨は止んでいるけれど山頂に着けるのだろうか。

小屋番とレスキュー隊員さんは9時頃には晴れてくるのでは、と予想していたけど。

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身支度を整えてザックを小屋の前にデポして山頂への道を進むと、自炊室で知り合った人と出くわして立ち話を交わすと、山頂まで行って来たと言われた。

じゃあ。と手を振り僕らも山頂を目指した。

岩肌の壁を正面に対峙した時に、富山側の雲が切れ一瞬だけ青空が顔をのぞかせた。

9時には晴れるかも。
そうすれば道のりや唐松岳の稜線も明らかになるはず。

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登れた。
相棒とハイタッチをして山荘に戻るとレスキュー隊員さんとまた話をした。

すると無線が入り唐松岳で長野県側に女性が滑落をして、ヘリコプターと隊員がそちらに費やされると話していた。

じゃあ、下山します。と告げ手を振った。

ヘリコプターが二機飛び交うのを見上げながら大変だった昨日のコースを逆算した。

やっぱ北アルプスは楽じゃないよな。

ずいぶんと下った頃、振り返ると昨日は見えなかった景色のなかに五竜山荘が青空のなかにぽっかりと浮かんでいた。

五竜山荘は遠くからもよく見えるそうだよ。相棒も振り返って言った。

良かったじゃん。昨日は雨で見えなくて。

相棒が、くくくと笑ってから、だな。と言った。

前方から登山者が来てすれ違うと、駒の小屋のTシャツを着ていた。

会津駒ヶ岳はいいですね。声を掛けると、そうですよね。気持ちの良い山です。

それは午前9時の出来事だった。

福島県の秋山とお世話になった宿の話をしていると、左手に唐松岳の尾根がはっきりと見えた。
綺麗な稜線と事故。複雑な思いだった。

リフトを降りてヒマラヤンブルーの花を探すと萎れてたけど、咲いていた。

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外国人の瞳のようだ。

テレキャビンに乗ると、係の女性から冷たいおしぼりを手渡された。

ぱん。と景気良く袋を破って顔を拭くと、ひゃーっと声をあげた。
良く冷えていてとても気持ちよかった。

真っ茶色になったおしぼりに笑うと、山旅が終えた。