8月28日 5時
それでもいいじゃん。俺は付き合うぜ。
三日連続の寝不足の朝になった。
昨夜は蛇の御利益は消え果て、隣の住人の鼾ハミングを明け方まで聞かされた。
朝風呂に相棒を誘い煌々と登る朝日に身体を染めた。しゃきんとするには朝風呂に限る。
朝飯を食べ庭先でコーヒーを淹れているとOさんとSさんが旅仕度を整えてこちらへやって来た。
お互いに無事の下山を握手で祈り、また会いましょうと交わし二人を見送った。
小屋を出発するとすぐに短な雪渓があるはずだったが、大量の雪解け水が川になって流れていて橋が架けられていた。
しばらくは崩落が著しい道を下り、樹林帯に潜り込みアップダウンを繰り返す。
なんだろう。疲労が蓄積しているのかスピードに乗れない。
またここに訪れる時には前泊を栂池でとったり、白馬大池で泊まったりとかするようになるのかな?と半端さみしい気持ちで相棒に言った。
その頃には金に物を言わせ個室泊まったりしてさそんな旅もいいものじゃん。
でもさ、ヘリで山頂に運んで貰うなんてことだけは止めような。と言うと相棒はあははと笑った。
高度はぐっと下がり里山の匂いに変わった。
あぁ、もう終わってしまうと思った。
それは五年前と同じ感情だった。
次のカーブを曲がると猿倉山荘へ着いてしまう。いろいろな感情が色になって重なり合っていく。
遠くで蝉が夏を呼びもどそうと踠いている。
みーんみんみんみーん じー
夕方まで時間を潰し、白馬村の定宿に向かった。
また露天風呂に浸かり白馬岳を見上げた。
綺麗だよな。交わす会話はまだ縦走路にいるようだ。
夜になるとOさんとSさんからLINEが届いた。
電話番号を伝えていたから、連絡が入ったのだった。お二人とも無事に下山をしたようだ。
Oさんが作ってくれたルームのネーミングが愛らしくて、盛り上がった。
また会いましょう。
やっと寝不足を解消した夜だった。


