朝になり窓を開けると、強弱をつけた雨はまんべんなく見える範囲を濡らしていた。
やれやれ。せめて曇り空になってくれたら。と、もう一度空を眺めた。
今日はイベントに出掛ける予定で、しかも会場は屋外だった。この調子で降られるとテナントのテントに入ってしまえば濡れないだろうけれど、移動の間は傘を広げなくちゃいけなくなる。身軽に見て回りたいのに面倒なものだ。
身支度をしていると、雨音が聞こえなくなっていた。桜も満開を迎えたと言うのに気温は低く、上着が必要だった。
ハードシェルを着ればフードを被れば傘は不要だと決めた。いつから天邪鬼になったのだろう。出来れば必要なものだけを持ち、両手は空けておきたい。
車に乗るとハードシェルを着たままハンドルを握る相棒がいた。
傘は?と聞くと持って来なかったと言った。
ここにも天邪鬼が居たのだった。
高速に乗り西部方面に走ると雨粒は肥え、天井を大きな音で叩いた。なにかの音に似ていると探れば、小屋のトタン屋根を撃つ急に降り出した通り雨のそれだった。
会場に近くなると曇り空が明るくなり、木々から木々へ飛び交う雀たちの囀りが聞こえた。
よかった、晴れるな。前を見たまま宣言すると相棒は、うんと頷いた。
イベント会場はアンジェというフラワーガーデンの中にある。入場料を支払って門をくぐるとすぐにテナントが設置されていて、それぞれの品物が展示されている。
前回から一年程なのにメーカーは驚くほど増えていて、なかには片言の日本語で商品説明をするアジア系メーカーも混じっていた。
僕と相棒はゆっくりとテナントを回り、気になる商品は手に取って使い心地を確かめ、さらに興味が沸けば担当者に意見を聞いた。
そして本当に良いと思えば実践する様を飽きる事なく話し合った。
あらかた見終わりそうになった頃、お目当のメーカーを見つけた。今日やって来た理由にはザックを修理して貰うこともあった。
日帰り山行にぴったりなザックなので、よく背負っていた。ちょっと膨らみ過ぎたのに無理をしてペットボトルをホルダーに突っ込んだら、ゴムが切れた音がした。よく見るとゴムでは無くて補強していたハトメが飛んでいた。三カ月を我慢して直るかどうか診てもらえる日がやってきた。
すると雨がまた降りはじめた。
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雨 玉置浩二
なぜか思いだした歌