富士山における落雷記録が書かれていた。

古いデータではあるけれど、十分に参考になるので記しておく。

雷は1月、2月、11月、12月には見られない。

残る3月から10月の間に発現し、10年間で72回が観測されている。

年平均にすると7回程度。

8月は2回集中することもある。

この数値が多いのか少ないのかはなんとも言いようはないが、やはり富士山に落ちる雷は迫力もハンパないようだ。

髪が逆立つ尖端放電も認められ、室内に火球を走らせる球状電雷もあったと言う。

ふむふむと、本をたたみ思案してみた。

夜中に鳴ったものを除くと、山で雷に遭ったのは一度切り。

御岳の下山時にそいつは怪しい雲を運んできて辺りを真っ暗にすると、いきなり光った。

こんなにも大きく響くものかと、東屋の軒下を借りて去るのを待った。

隠れる場所があったから胸を撫で下ろせたのだろうが、避難するものが無ければどんなに不安になったことだろう。


富士山の時も運が良かった。

小屋に着き15分程したら景色は一変した。

大粒の雨が容赦なく打ち付け、雷も鳴らしていた。

ここよりひとつ下の七合目で昼を兼ねて休憩していると、ソロで登ってきたおじさんがおにぎりを差し入れしてくれた。

本八合を宿にしていると話していた。

おじさんが先に向かうと、いかにも学生風の二人がやってきた。

弾丸登山をすると言っていた。

スニーカー、Tシャツ、半パンスタイルだった。

雨を眺めながら相棒と話していた。

あの学生は大丈夫だろうか、と。

おじさんは雨具をザックに詰めているはずだろうから、さほど心配は要らない。

学生はザックさえ担いでいなかった。

ずいぶん長く戻って来ないかと待ったが、二人は見かけなかった。

富士山も夏山開きが遠くない。

事故がありませんように。