大丈夫か?
相棒に声を掛ける。
ちょっと頭痛がして気持ち悪い。
留まるか?
無理しなくていいんだぞ。
いや、行く。
寝床からすくっと身を起こし、トイレを済ませに向かう。
体力をつける為にほぼ毎日、7キロのランニングを重ねてきた奴。
そうそう諦めるわけがない。
山小屋の前は既に多くの登山者が列を成し、数歩進むと
渋滞で立ち止まる。
100メートルも歩かないうちに足の運びが遅くなる相棒。
先に行っていいぞ。
バカなこと言いやがる。
秩序なく広がる隊列から連れ出して、効果があるか不明な
酸素缶を吸わしてみる。
ノロノロと進む列に分け入り、余裕がでると列を離れスピードを上げてみる。
それでもなかなかペースがつかめない。
看板を見ては酸素を吸わせ、ちょっとずつ上がる高度に気合を入れ、
励まし合ってひたすら登ってく。
やがて相棒の回復とバトンタッチするかのように今度は自分の脚が
ピタリと止まる。
3500メートル付近
ん、なんだ…
頭痛がするのは冷風のせいか
眠いのは睡眠不足のせいか
動けないのは空腹のせいか
ひっくるめて高山病のせいか
ちょっと休ませろ、そういうと適当な岩に腰かけ
ポケットに入れておいたナッツや小魚を胃に収める。
あらゆる可能性を排除せずに行こう。
出発前に琴線に触れた言葉だ。
排除せずにあらゆる想定と装備をしてきた。
なんだよ、これくらいのこと。
ゆっくり行けば着くはずだ。
自分に言い聞かせ、相棒に迷惑を掛けないように歩く。
なんでこんなことしているんだろう、なんて感情は一切なく
むしろ到着することしか考えていない。
おい、鳥居が見えるぞ。
本当だ。
真っ暗な夜空に浮かぶ煤けた鳥居。
着いた 着いたぞ
ご来光まであと40分
相棒と肩を叩きあい健闘を分かつ。
メシだ、なにか食べよう。
高山病だかなんだか不明だがとにかく腹が満たしたかった。
ラーメンずるずる、うめぇ。
そして日本のてっぺんも目覚めだしてくる
国歌が流れ、万歳三唱が響きわたる。
ご来光がどこに作用したのかいきなりの眠気が…
ザックを枕に1時間ほど熟睡。
目覚めると異常なまでのパワーが漲る。
俺達にはまだやることがある
つづく







