この日は他の患者さんが少なかったせいか、
いつもより入念にマッサ ージをしてもらった。
ガチガチの首や腕。
自覚症状さえ無かった慢性化した凝りも
少しは解れてきたらしい。
夏には、と療法士さんが口を開く。
夏には、燕岳に行こうかと思っているんですよ。
蒸し暑さはあるけど、燕山荘からの雲海が見たくて。
合戦小屋からずっと登り、辿りつく山のホテル。
この時、僕が思いだしたのは中国山脈の雲海だった。
10年前、島根県の邑智郡へ連れて行ってもらった。
縄文村という自然野菜レストランがあり、ランチをしたのだった。
ここのウリは、雲海。
季節は春。
寒暖差が幸いしたのか昼時にあっても、
それは下界の集落を覆い隠して行った。
たたでさえぼけっとしているのに、料理をつまむのも忘れていた。
はい、じゃあ今日はここまで。
ああ、いかんいかん。
また妄想に浸り話を聞きそびれてしまった。
今夏、母親を帰省させたら出掛けてみたい。
時間がとれるかな…