引き続きハイドンです。
ハイドン作品は、モーツァルトやベートーヴェンの曲ほどコンサートで取り上げられる機会少ないですね。
私自身もハイドンの曲は、ほとんど聴く機会がなく、知ってる曲はわずかです。
しかし、モーツァルトより早く生まれ、モーツァルトに影響を与え、モーツァルト死後も盛んに作曲を行った偉大な作曲家、交響曲と弦楽四重奏曲の父となれば、『もっとハイドンを聴かなくては!』。
バーンスタイン・シンフォニー箱に交響曲93番から104番の所謂「ザロモン・セット」があります。94番「驚愕」以外初めて聴く曲です。
その他、今回いくつかCDを入手したので順に聴いていきます。
①ザロモン・セット
B級オーディオBセットで聴きます。録音1958年~1975年。クリアーな音です。なお、録音場所によって低音の量感の違いが聴き取れます。1970年ニューヨーク・フィルハーモニック・ホールの録音は低音が豊か。他の場所の録音は低音が締まっています。
93番の第3楽章に「たたたたーん}なんてベートーヴェン運命っぽい音登場。こっちの方が「驚愕」。
94番「驚愕」はとてもよい曲です。途中で眠たくなるようなことはなく、びっくりさせる必要ない曲です。
95番の4楽章はモーツァルトの後期交響曲に負けない素晴らしい音楽です。
96番「奇蹟」はヴァイオリンやオーボエのソロが印象的です。
97番の3楽章のティンパニーや4楽章のホルンは「驚愕」よりびっくりします。
98番の4楽章はロマン派の音楽と言われても納得しそうです。
99番流れるような音楽が心地よい曲です。2楽章がとても美しいです。
100番「軍隊」副題のとおり勇壮な曲です。2楽章にモーツァルトっぽいメロディが出てきます。
101番「時計」2楽章のメロディは聴いたことがあります。時計のリズムに乗せたすばらしい音楽です。
102番躍動感のある音楽です。3楽章のオーボエが印象的です。
103番「太鼓連打」冒頭の太鼓の音にびっくり。途中でまたびっくり。2楽章には、またもモーツァルトっぽい怪しいメロディが。
104番「ロンドン」「のだめ」で千秋君が指揮者コンクール振った曲ですね。冒頭を覚えています。4楽章は圧倒的な迫力です。
1791年から1795年の作曲です。
ブラームスの交響曲は、ベートーヴェンよりもハイドンに近いところがある気がします。ハイドンが長くハンガリーのエステルハージ伯爵家に仕えていたことと、ブラームスがハンガリー舞曲を作曲したことと関係あるのでしょうか。
どの曲も分かりやすく親しみ易い曲です。決して退屈ではなく、高揚感と心癒される音楽のミックスされた世界は癖になりそうです。でも現代の若い人にはアピールし難い音楽で、私のような現役引退した人間向きかもしれません。
②オラトリオ「四季」
B級オーディオBセットで聴きます。カール・ベーム/ウィーン交響楽団。1967年録音。クリアーではありませんが、刺激の少ない聴きやすい音です。
春 4番のアリアに交響曲94番のメロディが出てきてびっくり。 9番の合唱はヘンデルのオラトリオのようです。
夏 17番のアリアがとても爽やかです。19番の嵐の描写はきっと後の作曲家に影響を与えたでしょう。
20番の合唱にはモーツァルトっぽい怪しいメロディが登場。
秋 23番の合唱は収穫の喜びを歌う雄大な音楽です。 29番はホルンの狩の角笛が聴きものです。
冬 44番 この曲が宗教曲であることを認識させる壮大な音楽です。
1801年頃の作曲です。
農作物収穫の喜び、自然や神への感謝、当時の人々の生活が偲ばれる素晴らしい曲です。
神なき時代・人間が自然を破壊した結果自然が人間に牙をむく時代である現代人からは、もはやこのような名曲は生まれないでしょう。
③ロシア四重奏曲
B級オーディオAセットで聴きます。ヴェラーSQ。1965年録音。デッカらしいクリアーな優秀録音です。
37番舞曲のように軽快な4楽章が魅力的です。
38番「冗談」1楽章冒頭の弾むようなメロディは一度聴いたら忘れません。
39番「鳥」やはり1楽章の鳥のさえずりのようなメロディが印象的です。
40番も4楽章の舞曲が見事です。
41番2楽章のハイドンには珍しい哀愁のあるメロディです。4楽章はモーツァルトが真似したような?。
42番2楽章も哀愁ある音楽です。
モーツァルトが、1782年出版されたハイドンの「ロシア四重奏曲」に影響され、弦楽四重奏曲第14番から19番の「ハイドン・セット」(ハイドンに献呈されました)を出版したのが1785年。
「18世紀中頃からの急速な市民階級の勃興および一般に「啓蒙主義」として知られる運動の同時代現象が、この古典派音楽だということである。」(参考書-1 P..96)
当時のウィーンの市民は、新しい時代の息吹を感じながら、きっとハイドンやモーツァルトの新しい音楽作品を心待ちにしていたのでしょうね。そしてその音楽が200年以上聴き継がれていることはすごいことです。
現代は資本主義や民主主義が終焉を迎え、社会・経済・政治すべてに閉塞感に満ち溢れています。現代人は、どのような新しい音楽を期待しているのでしょうか。活力?、癒し?、明るい未来?、ノスタルジー?、・・・・・。
ところで「ハイドン・セット」という言葉からは、現役時代にお世話になった昼食「○○丼セット」を連想します。
2019年10月からの消費税引き上げに伴い、消費税込みの価格を据え置く飲食店も多いと思われます。
はやい・うまい・やすいに加えて、消費税引き上げ分実質値下げということになります。
これこそ減額4重奏ハイクオリティー丼セット略して「ハイ丼セット」。なんちゃって。
④エルディーデ四重奏曲
B級オーディオAセットで聴きます。コダーイ・クヮルテット。1989年デジタル録音。クリアーな優秀録音です。
75番1楽章のフーガのような音楽に意気込みを感じます。
76番「五度」2楽章の優雅さが心地よいです。3楽章の不思議なメロディが印象的です。
77番「皇帝」2楽章がドイツ国歌として有名ですが、他の楽章も素晴らしい音楽です。
78番「日の出」1楽章の冒頭のメロディは一度聴いたら忘れません。4楽章が爽快です。
79番2楽章のラルゴが美しい為「ラルゴ」と呼ばれることもあるようです。確かに美しい曲です。
80番この曲も2楽章が大変美しいです。
1797年、ハイドン64才の時の作曲です。どれもよい曲ばかりです。当時高評価を得ていたのも納得です。
ハイドンはモーツァルトと親交があり、モーツァルトの勧めでフリーメイソンにも入会し、モーツァルト死後もモーツァルトの妻コンスタンツェとは交流が続きモーツァルトの遺児の留学の世話もしたようです。フリーメイソンについてはモーツァルトの時に詳しくお話します。
ハイドンが亡くなったのが1809年。ベートーヴェン交響曲第3番「英雄」の初演が1804・05年、第5番「運命」の初演が1808年。
ハイドンは1804年頃には健康を害していたようですが、かつての弟子の音楽を聴くことはできたのでしょうか。
次は、古典派 その4です。