$セントラル愛知交響楽団「悠久の第九」合唱団のブログ


 みなさんこんばんは!

 「悠久の第九」合唱団のアンサンブルも士気も年々高まり、今年はかなり質の高い演奏ができるのではないでしょうか。オーケストラも指揮者も最善の状態で挑みますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 全国のいろいろな合唱団で私は第九を指揮するとき、必ずお願いすることがあります。それはオーケストラとともに第一楽章からステージに存在してもらうということです。これはソリストや4楽章にしか現れないコントラファゴット奏者や打楽器奏者も同様です。

 ご存じのとおり4楽章の冒頭のバリトンソロは「O Freunde, nicht diese Töne! 」で始まります。「このような音ではない!」というのは第1楽章から第2楽章に現れる苦悩の断片を指しています。

 第1,2楽章をステージで聴いて第4楽章に突入するのと、第3楽章の前で合唱団とソリストが入場するのでは雲泥の差があります。前者は歌詞に対する精神的支柱を生み出しますが、3楽章へと移行する重要な生命線をぶち壊してしまうのです。

 私は30代の時に大阪、京都、奈良、和歌山で第九をやった時に、何十年もの間3楽章の前で入場してきた合唱団を説き伏せるのにとても苦労しました。今ではここの合唱団は違う指揮者でも第1楽章からステージに座っています。

 さて、第九の演奏時間をみなさんはご存知ですか?1825年にロンドン初演の指揮者がベートーヴェンに演奏時間を尋ねた時に「1時間と3分」とベートーヴェンは答えました。
この「1時間3分」は全体的にかなり速めのテンポで演奏しなければ達成できない時間です。私の指揮が何分になるかわかりませんが、確実に63分は超えます。

 ちなみに私の持っている第九のCDとDVDを検証してみると、長い(遅い)演奏順からこうなります。

朝比奈隆 78:50
フルトヴェングラー 73:40
バレンボイム 72:30
ムーティ  71:50
ブロムシュテット 69:00
カラヤン(1977年) 66:40
カラヤン(1962年) 66:45
E・クライバー 65:40
トスカニーニ 64:30
ブリュッヘン 63:30
ミュンシュ  62:30
ガーディナー  59:45!!

 朝比奈さんとガーディナーの演奏時間は同じ曲でも全く別の作品に聴こえます。
 音楽って面白いですね。

                              齊藤一郎