6月のある日突然、浜松に住んでいる兄から「おい、お盆休みに赤石岳登るから来い、2泊3日な。」と無茶な要求が。赤石岳といえば、南アルプス南部の日本百名山にも数えられる標高3121 mの本格的な山。小学生の遠足くらいしか山登り体験の無い私に登れると本気で思っているのか、もしかして昔日のように幼い弟をなぶって楽しむ趣味が再燃したか、と思いつつ、この機会に登山に触れるのも興味深いと考え、2ヶ月後の赤石岳登頂を目指して準備を始めたのでした。しかし、登山の準備は思いのほか大変で、備忘録としてここに記録するものです。

 

ウェアを検討する

 汗をかくスポーツは、概ね吸湿速乾のウェアが重要となります(相撲、剣道、柔道など日本のスポーツはなぜか例外)。ロードバイクで遠距離ツーリングにもときどき行くので、ウェアの重要性はよく分かっているつもりでした。それは日常生活にも波及し、あらゆる下着類はモンベル製品に置き換わったほどです。洗えば翌日には乾いているので、旅行でも便利です。

 さて、登山にはどのようなウェアが良いのか。季節は夏ですが、登山に関しては夏でも長袖長ズボンを主張する人が多いようです。紫外線、虫、擦り傷などから肌を守る必要があるので道理です。まずは手持ちのウェアをどこまで活用できるか、試してみることにします。上はモンベルのクールロングスリーブジップシャツ(https://onl.tw/vdhqXgs)で、「通気性に優れる表面と汗を素早く吸水拡散する裏面に二層構造により、汗をかいても常に快適な着心地を実現」という機能です。下はモンベルのジオラインLWトランクスとモンベル最薄のクールパンツ(https://onl.tw/qWEyg2W)で、「優れた通気性と速乾性を備え、モンベルのトレッキングパンツの中で最も軽量なパンツです。肌離れが良く、汗をかいてもべたつきにくく」という機能。能書きを読む限り、間違いない選択のはずです。

 

モンベル信者の誤算

 登山練習一回目です。手始めに、ギャルがサンダル履いても登れるとも言われる高尾山を登ってみます(実際はそんなことありません)。気温30℃の晴れ、汗が滝のように流れ落ちます。速乾性素材だからすぐさらさらになるだろう、というのは甚だしい誤算でした。ロードバイクも大量の汗をかきますが、常に風速30 km/hの風に吹かれている状況なので、汗はすぐに乾いてべとつくということはありません(そのかわり塩が吹き出します)。しかし、2〜4 km/hの登山では全く乾くことなく、ウェアは常に汗を最大限吸った状態を保ち、汗が末端からしたたり落ちます。

 上も下もウェアが肌にまとわりつき、不快極まりありません。外気温が低く天候の変わりやすい高山では、汗冷えの要因となり命取りになりかねません。もう一つの問題は、パンツが伸縮性のない素材だったため、汗によるまとわりつきで足を上げる動作が阻害されることでした。結論としては、今回のウェアチョイスは全くダメでした。登山恐るべし。モンベルの名誉のために言えば、軽く汗をかく程度の運動(ウォーキングなど)ならこれらのウェアで快適そのものです。私が類い希なる汗っかきということも災いしたのだと思います。

 

逸品との出会い

 次回に向けて、まずは汗冷え対策です。登山では活動量、標高、天候変化に対応できるように、レイヤリング(重ね着)が基本とされています。直接肌に触れる吸湿速乾に優れるベースレイヤー、ベースレイヤーから移動してきた汗を素早く吸収・拡散して乾かすミドルレイヤー、さらにその外側に保温や防水・防風のアウターレイヤーです。いろいろ調べてみると、ベースレイヤーの下にドライレイヤーを着るという考え方が主流となりつつあることを発見しました。汗を吸うのではなく、肌からベースレイヤーへ素早く受け渡すことにより、汗のべたつきや汗冷えを大幅に軽減するという役割です。現時点では、ミレーのドライナミックとファイントラックのドライレイヤーが双璧のようです。ただし、両者は仕組みが若干異なり、見た目が普通のアンダーっぽいファイントラックのドライレイヤー

 

 

は撥水性が肝となります。しかし、この撥水効果が徐々に低下するという報告も散見されました。一方、ミレーのドライナミック

 

 

は効果が半永久的らしいのですが、一点問題が。デザインがやや変態的で、人前で見せることが憚られます。とはいえ、見た目か性能かと言われれば、躊躇無く性能を選ぶ、恥とは無縁のオッサンなので、ミレーを上下購入しました。

 パンツに関しては、モンベルにも適当なものはありそうなのですが、菱形のモンベルマークが大きく目立ち、普段着との両立を目論む身としては許容できないものでした。評判がとても良かったのが、神のパンツとも呼ばれる、ファイントラックのカミノパンツ

 

 

でした。ストレッチ性、耐久性、撥水性、ベンチレーター機能を備えつつ、普段履きしても全く違和感なさそうなパンツです。

 

4Lの汗でも不快さを軽減するドライナミックメッシュ

 いざ、二回目のテストです。今回はより実践的に、トレーニングとして水4Lを背負って、陣馬山から高尾山まで奥高尾縦走をしてみます。天気は晴れ、予想最高気温38℃!汗のテストにはもってこいです。上はミレーのドライナミックメッシュのタンクトップ-モンベルのウィックロンTシャツの2層に加え、腕にモンベルのライトトレールアームカバー、下はミレーのドライナミックメッシュボクサー-カミノパンツの2層。陣馬山までなかなか険しい登りで、2時間弱ですでに滝のように汗をかきます。高尾山口まで18km, 1200mアップ、7時間ほどの行程でした。結論から言えば、上半身はドライレイヤー大成功でした。Tシャツは絞ると汗が出るくらいびしょびしょでしたが、肌のべとつきは気にならない程度で、しばらく休憩しても汗冷えしません。ついでに言えば、アームカバーも非常に良く、夏は素肌よりもアームカバーをした方が気化熱でかえって涼しいことがよく分かりました。 

 

 

 一方、下はどうかというと要再検証というところ。これは私の失敗で、カミノパンツ自体は吸湿速乾を謳っていないのに、ドライナミックの上に直にはいてしまったので、ドライナミックによって肌から排出された汗の行き場がなく、パンツの中がびしょ濡れになり、椅子に座ると、お漏らししたか!というくらい、汗がお尻から流れて水たまりが出来るほどです。一体どのくらいの汗をかいたのかということですが、荷物練習のつもりで持ってきた4Lの水を全て飲み干し、さらに水筒の水、途中で食べたかき氷ふくめて5Lほどのintakeがありながら、普段は頻尿の私がほとんどトイレに行かなかったので、不感蒸泄を差し引いても4L以上の発汗があったと推測されます。メーカーに実験台に使ってほしいくらいの優れた汗っかき体質です。カミノパンツは真夏に履くパンツではないようで、次回は、ドライナミック+モンベルのサポーテックライトタイツ+ハーフパンツにして、再度テストしてみようと思います。

 登山準備に関しては、まだまだあるのですが、一度に書ききれないので、近いうちに続報を書きたいと思います。登山道具は奥が深い。金もかかる…。山のかき氷は美味かった!