11月中旬に、6年ぶりのフランスへ5泊7日の出張に行きました。フランスは6回目ですが、これまでと大きく違うのは、全くの一人旅であることです。ということで、備忘録として旅行記メモを残しておきます。

 今回も目的地は、クレルモン=フェラン(Clermont-Ferrand)という、フランスのど真ん中にある地方都市で、有名なものといえば、ミシュラン本社、パスカルの出身地、Volvicの採水地といったところです。

 

ゴロゴロの代わりにザックで初海外

 これまでの海外出張は、キャリーケースと日常ザックの組み合わせで行っていましたが、今回はキャリーケース相当の容量のザックとサコッシュの組み合わせで出張することにしました。最近登山に馴染んできたせいで、重い荷物を背負うことに抵抗がなくなった、いやむしろ重い方がトレーニングになって嬉しいと感じるようになったこと、石畳が多く犬の糞もあちこちに落ちているヨーロッパの道でキャリーケースをゴロゴロ引っ張るのが億劫だったことが主な理由です。

 丸1日費やしたネットサーチの結果たどり着いたのが、オスプレーのファーポイント40です。数ある候補の中から選定したポイントは、機内持ち込みに対応したサイズであること(ユナイテッド航空にキャリーケースを無残に破壊されて以来の絶対的信条)、15インチパソコンを収納する専用保護スペースがあること、胸ベルトは当然として荷物の重さを受け止めるしっかりした腰ベルトがあること、背負い心地が快適であること、です。この点、オスプレーは登山用ザックの超一流メーカーだけあって、全てが高次元で備わっており、実際の使い心地も極めて満足度の高いものでした。同じ重さのキャリーケースをゴロゴロ引くより私的にはかなり楽でした。なお、私は着替えは多泊になろうが下着2セット、上着1セットとして現地でマメに洗濯(シャワー室で踏み踏みするだけ)するので、荷物はかなり少ない方です。

 サコッシュには、空港や機内で取り出すものを入れます。パスポート、財布、くつべら、USBケーブル、モバイルバッテリー、イヤホンのみなので、小さいもので十分です。Shoebillの登山用の防水サコッシュがバッチリでした。500mLのペットボトルも入ります。

 現地での行動用に、小さく折りたためるパッカブルザック、登山でいうところのアタックザックを持っていきます。モンベルのバーサライトパック20が機能的にもサイズ的にも申し分ありませんでした。

 

羽田からシャルルドゴール空港へ

 羽田第3ターミナルからJALで出発です。検査機器の進歩のおかげで、手荷物検査ではパソコンを取り出す必要がなくなっただけでも嬉しいです。事前チェックインして、保安検査場と搭乗ゲートでスマホに表示させたQRコードをかざすだけで搭乗でき、国内線とほぼ変わらないスムーズさです。

 昨今の航空機代高騰でビジネスは100万円超えで贅沢すぎるので、往復50万円ほどのプレミアムエコノミーにしました。ロシア上空を飛行できないせいでアラスカ・北極まわりの14時間超の過酷なフライトなので、エコノミーは耐えられる自信がありませんでした。

 機内ではひたすら仕事の準備です。なぜか移動中のほうが仕事がはかどる不思議。機内のUSB端子はUSB-Aなので注意。困ったのは、せっかく有料WiFiにつないだのに、アラスカや北極付近は衛星電波が入らず、出発後2h、到着前1hしかまともにWiFiが使えませんでした。詐欺に遭ったようなもので、最初から分かっているはずなのになぜJALは何も言わない、というのが今回の最大の不満です。北極回りの人はお気をつけて。JALのご飯は美味しいです。

 プレエコは十分に快適で、特に身体に異変を来すことなく、シャルルドゴール空港に到着。税関申告不要、パスポートチェックもほぼ素通りで、あっけなくシャバに解き放たれます。

 

空港からRERでパリ市内へ

 空港からパリへは主に鉄道(RER B線で40分)かバス(ロワシーバスで60-70分)の二通りの行き方があります。ネットで調べると「RERは治安が悪いので乗るな!バス一択」の声が大勢。過去これまではずっとRER B線でパリまで行っていたのでホンマかいな、と天邪鬼ぶりを発揮してRERでパリへ行くことに。途中からすごく混みはじめて、座れないどころか、ギュウギュウ詰めです。治安が悪いとまでは言いませんが、あまり上品ではない地区で停車するためか、やや緊張感を強いられるような人々が乗ってくるのは間違いありません。RERではなく、パリのメトロで一度iPhoneをすられた(すぐに取り返した!)ことがあるので、ひとり身ということもあり終始周囲に気をつけながらで疲れました。結局私自身にも周囲の乗客にも何事も起こりませんでしたが、確かに時間的余裕を持ってバスに乗る方が肉体的にも精神的にも楽だと思います。

 

 

パリからクレルモン=フェランへ

 パリからは各方面へ向けてフランス国鉄SCNFの鉄道網が放射状に張り巡らされています。クレルモン=フェランへ向かう列車はターミナル駅としては小規模なベルシー駅から出発します。予約と決済はSCNFのwebサイトあるいはスマホアプリから簡単に(とはいえフランス語表示中心なのでやや手こずる)できます。社内を車掌が巡ってきたときに予約時のQRコードを見せるだけでOKと、実に簡単です。日本の新幹線もこの方式にすれば外国人は楽だろうに、相変わらず日本は自らガラパゴスになりたがるなぁと思います。

 フランス鉄道の不思議は、出発の15分ほど前になるまでどの番線から出発するか分からないということです。そんなはずはないのですが、ホームの手前は出発番線が出るのを今か今かと待つ人でごった返します。

 クレルモンフェラン行き列車はTGVではなくインターシティーというグレードの列車で、中央線特快みたいなものですね。二等車ではなく一等車を予約したので、快適です。もちろん電源あり。席の配置が面白いというか良く出来ていて、4人コンパートメントの席もあれば、1席のみ、2席向かい合わせなど、様々な席を予約時に選ぶことが出来ます。景色はひたすら牧草地帯であまり面白くはありません。唐突に原発が現れて違和感を覚えるくらいです。出発も到着も予定時刻通りでした。前回の出張では、列車が急遽変更になった上に、座席のダブルブッキングでも車掌が何もしてくれず、飲食スペースのようになっているがらんどうの号車に移動して、3時間半立ち飲みしながら移動したということもあるので、今回のスムーズさは意外でもありました。

 

クレルモンフェランという街

 とても趣のある教会を中心とした、こじんまりとした街です。この周辺は火山地帯で、教会には溶岩から切り出した黒っぽい石を使用しているので、独特かつ荘厳な雰囲気を醸し出していて、必見です。その他の見所は正直ありませんが、治安の悪そうな場所も無く、夜でも安心して散策できる街です。

 実は、駅からバス30分で行けるピュイ・ド・ドームという美しい休火山に登りたかったのですが、バスの運行が今年は終了しており(毎年11月上旬で終了)、また次回の楽しみにしておきます。

 

パリで散策と食事

 フランスでの飲食店は、レストラン、ビストロ、ブラッスリーに大別でき、レストランは高級店、ブラッスリーは町の食堂、ビストロはその中間といったところでしょうか。今回はともかくフォアグラを食べることを目標としていました。パリに到着した初日の夜はホテル近くのブラッスリーをあたってみました。店先に出ているメニュー看板はフランス語なので、グーグル翻訳で確認していると店の人に「コンバンワ!」(何故日本人と分かる!?)と声をかけられ、フォアグラあるのか尋ねると、もちろんというので入ったら、「ゴメン、なかった」だとー。フォアグラはどこでも出してくれるわけではないようです。もう夜も遅いので、オニオンスープと牛のタルタルとワインを頼みました。オニオンスープは絶品!牛のタルタルは美味しいけどまあこんなものかな。35€とパリにしては激安に思えました。

 この反省もあり、クレルモン=フェランからパリへ戻る日に合わせて、フォアグラを出してくれるお店をサーチして、Brasseria Des Artsという評価の高そうなお店を予約。ホームページがしっかりしていると安心です。さて、フォアグラのお味ですが、大満足でした。パンと合う、ワインと合う、食事というよりつまみ感覚です。オニオンスープも再び絶品。しめて60€で意外に安い。これまでは、一緒にフランス出張に来ていたボスの好みでシャンゼリゼ通りでばかり食べていましたが、正直美味しいと思ったことはありませんでした。観光地ど真ん中じゃないところで人が入っているお店はハズレがないのでしょうね。そうそう、クレルモン=フェランで食べた骨髄だけはただの油の塊みたいで美味しくなくお腹壊しました。

 その後、ぶらぶらとパリの街を歩きます。無料で入れる植物園は恐竜展をちょうどやっていてラッキーでした。ノートルダム大聖堂は何年か前の火災の修復中でまだ入れず。その後、世界最古の百貨店Le Bon Marcheをうろうろ。何か面白いものがあれば買おうとも思いましたが、どうせ東京でほぼ全て手に入ると思うとわざわざ買う気も起こらなくなる冷めた悪い性分です。そのまま夜のエッフェル塔まで行きました。1時間に1回、パリオリンピック記念ということでシャンパンフラッシュをやるとのことで、特等席に陣取ってしばし待つと、キラキラが始まりました。色はオレンジと白の二色だけですが、シックな感じが東京スカイツリーとは違った良さを醸し出しています。とても綺麗でした。

 結局フランス滞在中は現金を全く使用することなく、切符の購入、スーパーでの買い物、飲食店での支払い、すべてクレジットカードのタッチ決済で完了しました。日本も早くこうなってほしいものです。財布を出すのが本当に煩わしいし危険です。でも外資に手数料持って行かれるのは癪なので、みんなJCBを使えば良いのかな。

 翌日は17:00の便で羽田へ帰国ですが、その前に午前中にルーブル美術館へ寄ります。遅くとも前日までにwebで予約必須です。9:00の枠から予約出来ますがすでに完売で、9:30枠の予約に。でも、当日朝に入口のピラミッドに行ってみると、予約ありの人が並ぶ列は9:00、10:00と1時間ごとに区切られているようで、9:30予約でも9:00予約の列に並んで問題なく入れました。ピラミッドの下にはクロークルームと称する無料ロッカーが大量に備え付けられた部屋があり、荷物はここに置いておけます。飛行機はチェックイン済みなので、空港には16:00前に到着すれば大丈夫なはず。空港ラウンジでお昼ご飯、シャワーを浴びる時間、バスの所要時間を1時間半と見積もって、13:00ごろまで余裕でルーブル滞在の時間があります。過去の経験から、2時間歩き続ければ隅から隅まで見ることが出来ることは分かっているので、気持ちに余裕を持って堪能することが出来ました。素晴らしいものは何度見ても素晴らしいです。ニケとネコのミイラがお気に入りです。しかし、いつも日本人でごった返していたのが嘘のように、日本人は少数派でした。

 

パリからシャルルドゴール空港へ

 さて、空港へ行くには時間的に確かな鉄道が良いかなと最初は思っていたのですが、ホテルのあるベルシー駅からルーブル美術館最寄りのピラミッド駅まで地下鉄で行ったのですが、切符券売機に長蛇の列です。列に並んで眺めていると一人10分以上占拠している人もちらほらいます。なんでやねんと呆れて20分ほど並んで自分の番になったときに少し納得しました。English表示を選んだのになぜかフランス語表示で画面が進行。画面ごとにグーグル翻訳で解読して(内容は大したことなく、紙の切符かチャージか、領収書は必要か不要か程度)、やっと発券するまで3分もかかってしまいました。そういえば前回も空港までの切符を買うのに難渋したのを思い出したので、帰りはバスで空港へ行くことにここで決心しました。

 ロワシーバス乗り場は、ルーブルから徒歩8分のオペラ座付近にあることだけ分かっていましたが、オペラ座を一周グルッとしてやっと見つけられました。オペラ座正面から見て右斜め前方の道路を渡ったところにあります。券売機がありましたが、買わずにとりあえずバスに乗ると、運転席脇にあるクレジットタッチでOKとのこと。頻繁に便があるせいか、空いていて全員座れます。椅子は古い野球場のベンチみたいで堅くて乗り心地は悪いですが。土曜のお昼でしたが渋滞もなく50分くらいで順調に到着し、各ターミナルを回ってくれます。

 搭乗開始まで2時間以上時間があるので、エアフランスのラウンジに入ってまずはシャワーを。シャワーあるとなしでは大違いで、さすが地元だけに気合いが入っています。食事も気合いが入っていて、ワインは高そうな白赤シャンパンが飲み放題、食事もチーズ各種はもちろんビーフシチューなど様々あり、すっかり出来上がってしまいました。

 

羽田での疑問

 帰りもやはりロシア上空を迂回してトルコ上空を通る経路で、12時間超。仕事はしないと決めて、映画三昧です。名探偵コナンとゴッドファーザー1&2を見て、退屈することなく羽田に到着。税関申告は従来は黄色い紙にペンで記入して税関職員で見せる方式のみだったのが、最近はVisit Japanというサイトでweb申告でもOKとのことで、1時間の無料WiFiの時間を使って申告完了させました。税関も楽々、と思いきや税関の前にVisit Japanで登録したページのQRコードを読み取らせる必要があり、その機械にまあまあの行列が出来ていました。ただのタッチで済むのならともかく、申告内容の再度の確認を求められるので、1-2分要してしまいます。結局、従来通りの紙で申告した方が圧倒的に早いのでありました。どうして日本人はこういう非効率なコトさせると天才的なのだろうと、腹立つやら呆れるやらで、昔は、欧米は何て非効率なんだ、と思っていたのがいつのまにか効率性の点でも逆転されてしまった、といろんな点で思わされた旅でした。

 

 とはいえ、海外出張は仕事はもちろんのこと、外国の様々な様子を肌で感じることが出来てちょっと成長した気がするのは、この歳にしては未熟すぎるかな?総じて楽しいフランス旅でした。