お久しぶりです。
最近も、引き続き、引き取り手のいない田舎の不動産の問題について考えています。
今日は「相続人不存在の土地を国庫に帰属させることができないか?」という問題について書きます。
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「相続人不存在」とはどんな場合でしょうか。
一番わかりやすいのは、ある人が死んだときに相続人が一人もいないケースですが、それ以外にもあります。
相続人は何人かいたけれど、その全員が相続放棄をした、というケースです。
引き取り手のいない田舎の不動産だけが相続財産である場合、不動産管理の手間暇や費用を考えると、極めて現実的な選択肢として、「相続放棄」が上がってきます。
相続人が一人もいないケースより、こちらのケースの方が、数としては多いかもしれませんね。
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さて、こうして相続放棄などにより「相続人不存在」となった不動産は、その後、いったいどうなるのでしょう?
民法239条2項は、「所有者のない不動産は、国庫に帰属する。」と定めていますので、この条文により、国に所有権が移るのでしょうか?
いいえ、コトはそれほど単純ではありません。
なぜなら「相続財産法人制度」というものがあります(民法951条~959条)。
相続人不存在の相続財産には、少し奇妙に聞こえるかもしれませんが、「法人格」が与えられることになっています。
「相続財産法人」です。
例えば株式会社のような存在を観念すればわかりやすいと思います。
相続財産法人も、株式会社と同様に、不動産を所有することができます。
と、いうことは、相続人不存在となった不動産については、相続財産法人という所有者がいるとも考えられるわけです。
なので、単純に民法239条2項により国に所有権が移るとは言えません。
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では、その後、相続財産法人はどうなるかというと、裁判所が相続財産管理人を選任し、この相続財産管理人が諸手続(というか後始末)を行います。
諸手続の内容については省略します(笑)
しかし、引き取り手のいないような不動産は売れませんので、諸手続の後も残ってしまうことが多いでしょう。
相続財産が残ってしまった場合の処理については、民法959条で次のように定められています。
民法959条
「前条の規定により処分されなかった相続財産は、国庫に帰属する。」
よかった!
これで、ようやく、引き取り手のいなかった不動産は、無事に、国庫に帰属することとなりまし・・・た???
いいえ!
ここまで来ても、まだコトはそんなに単純ではありません。
引き取り手のいないような田舎の不動産は、境界確定を行っていないケースが多いと思われます。
そして、国は、境界確定が行われていない不動産については、引き取りを拒否することが多いと言われています。
つまり、国は、実務上、国庫帰属を拒否することがあるのです!
拒否の理由は、「管理・処分が不能だから」ということになっていますが、これって理由になっているのでしょうか?
境界確定が行われていないというだけで管理不能になるとは到底思われませんが・・・
さて、国が国庫帰属を拒否した場合、その後どうなるかというと、相続財産管理人が辞任します(正確には、選任が取り消されます。)。
実務的には、これで終了ということになっています。
その後、何も行われません。
これでよいのでしょうか?
いいわけがありません。この不動産の管理はだれがするのでしょう?
それから、この不動産の所有者は、結局、だれということになったのでしょう?
相続財産管理人はいなくなったけれど、相続財産法人自体はなお生きているから、引き続き、相続財産法人が所有者となる?
いやしかし、管理人はもういないのに・・・
私は、民法239条2項「所有者のない不動産は、国庫に帰属する。」に立ち戻り、本件の不動産は相続財産管理手続を経て、もはや所有者がいないことが確定したのだから、国庫に帰属する(国は引き取りを拒否できない)、と考えてもよいのではないのかと思いますが、いかがでしょうか?
本件は、いわゆる「所有者不明の土地等に関する諸問題」の一つです。
つまるところ制度の不備があると言わざるをえませんので、立法による解決が待たれるところです。