■ヘンな日本美術史 | 山口 晃

 

読了。

最後は川村清雄(かわむら きよお)さんという、明治期に海外で絵の勉強をされた方の紹介でした。

本書に載っていた「梅に雀」の絵は、輝く金色を背景に、梅の花の柔らかな桃色と、木の枝と雀の無骨な力強さが目に飛び込んでくるようで、とても印象的でした。(あとでネットで調べても、まるで情報に辿り着けなかったのは残念でしたが……)

 

本書では、自身も画家である、著者の山口さんが、自分自身の感動やら率直に思ったことやら絵を描く人の視点から気づいたことや考えたことなどが軽妙な語り口でつづられておりまして、最初から最後まで楽しく学びながら読むことができたように思います。

 

 

■ギリシア哲学史 | 加藤 信朗

 

まだ読み始めたばかりなのですが、少し前に読み終えたばかりの「哲学の起源 | 柄谷 行人」に書かれていた内容と、同じ時代や人物について書かれていても、大きく異なる視点で描かれていることについて、大変興味深く思いながら読みました。

 

たとえば、柄谷さんの立場では、ソクラテスはタレスなどのイオニア自然哲学を引き継いだ哲学者で、弟子のプラトンについては、イオニアから脱却しようとした(?)ピタゴラスに影響を受けており、実際のソクラテスを歪めて後世に伝えているということのようです(と僕はだいだい理解しています)。

 

加藤さんの立場では、後世のピタゴラス派が、ソクラテスのことをピタゴラス的に歪めて伝えてしまったけれど、プラトン自身はピタゴラス派からは離れた存在で、ソクラテスを引き継いだ人物と見ているのかなと思いました。

また、「イオニア自然哲学」ではなく、「イオニア自然学」とされており、どうやら、タレスなどは狭義の意味での「哲学」には含まれないとの立場のようです。

 

まだ本当に読み始めたばかりですし、ピタゴラスについてどう捉えているのか、プラトンやソクラテスとイオニアとの関係はどのように考えているのか、「哲学」とはどのようなことを意味しているのかなどなど、今後読み進めていく上で、興味が尽きません。

 

若干、堅苦しい雰囲気の装幀なので、最初は手に取るのを少しためらったのですが、読み始めてみると本書の文面は、ギリシア哲学を学ぶ上でおそらく最低限必要な用語は登場させつつも、堅苦しい文体が苦手な僕でも読み進められそうなくらいに、できる限りわかりやすく平易な言葉で伝えようと書かれているように感じました。(もちろん、難しすぎてよくわからない部分はところどころあるのですが……)

 

ぜひ最後まで、読み終えてみたいと思います。時間はかかりそうですが、少しずつでも理解を深めていけたらと思います。