■ヘンな日本美術史 | 山口 晃
月岡芳年。動きがあってかっこよかった。
写実的な絵とデフォルメされた絵が一枚の絵の中に両立しているというのが面白かったです。
画家の視点からの解説はどれも大変興味深い。
ちなみに「こけつまろびつ」の名前は本書から拝借しました。
■チベットのモーツァルト (講談社学術文庫) | 中沢 新一
風の瞑想歩行。
見ているような、見ていないような意識状態で、どこにもぶつかることなく、風のように高速に歩く訓練のようです。
そういえばお酒を飲んで酔って帰ってくるとき、意識も記憶もないけれど、ちゃんと家に帰って来れるのって不思議ですね。(朝起きたら身体のどこかが痛かったり、そもそもちゃんと帰れないこともしばしばですが……)
そういう能力を、もっと高度なレベルで身につけようということなのかなとか思いながら読みました。
もちろん、能力を身につけること自体が大切なのではなくて、能力を身につけることで、世界の観方を変えることが大切なのでしょうけど。
脳科学の本を読んでいると、人の視界の周辺部の情報は、脳にインプットされる時点では色がついていないのだとか。それを脳の中で違和感がないように色をつけているのだそうです。つまり僕らの意識に上がってくる、僕らが見ている世界の情報は、脳の中で加工修正されているということです。不思議ですけど。
僕らは世界を見ているようで見ていなかったり、見ていないようで見ていたりするのかなと思います。そういった、僕らが体験している世界のあり方について自覚的になるということが、僕らが生きていく上で、大切なことなのかもしれません。