「史実をベースにしたフィクション」

原田マハさんの魅力的な物語をまた読みました。

 

 

ジヴェルニーの食卓 (集英社文庫)

 

 

 

マティス、ドガ、セザンヌ、モネといった

巨匠たちの葛藤や苦悩、そして日常を

彼らのまわりにいる人々の視点で描いた物語。

 

 

 

うつくしい墓

 

 

雑誌の取材を受けている老女、マリア。

 

11歳で戦争孤児、

中学卒業してからは家政婦になった。

 

ある日、マティスのところへ

花を届けに行くことになる。

 

「マグノリアの静物」を描いたマティスと

世の中が難しい時期にあって、

画家にできることは、

ただ調和を表現すること。

 

「血のソーセージのある静物」を描いたピカソ。

2人の対比が印象的。

 

たちまちまとめてしまわないと、

1分後には世界は変わってしまっているのですから。

 

 

エトワール

 

 

物議を醸しだしたエドガー・ドガの

「14歳の踊り子」は

どのようにして描かれたのか。

 

その背景を、アメリカ人女流画家

メアリーの視点で描いている。

 

「瞬間」を描きとることに

執念を燃やし続けた彼(ドガ)

変態だと、よく言われるドガだが、

友人であったメアリーの視点から語られる彼は、

葛藤しながらも

少女の味方であったように思えた。

 

 

タンギー爺さん

 

 

パリでいちばん融通の利く画材 兼 画廊

と言われた「タンギー親父の店」

 

絵が売れたら返済すると言い、

ツケで買っていく者や、

描く絵と引き換えに絵具をくれという者。

 

貧しい無名の画家たちが店を訪れ、

経営はなかなか上手くいかない。

 

そんな父や、父を支えた母、

当時の画家たちについて

タンギーの娘がセザンヌへの手紙で語っている。

 

 

ジヴェルニーの食卓

 

 

モネのパトロンだったエルネスト・オシュデ。

彼が経営するパリの百貨店が閉鎖してしまい、

オシュデ家は、モネの家に居候することになる。

 

モネを慕う義理の娘ブランシュの視点から

2つの家族のストーリーが語られる。

 

君たちは、私を幸福が画家にしたいというのかい?

それならば、方法はたったひとつしかない。

私たち家族が、これからも一緒に暮らすことだ。

 

モネと友人のクレマンソーの話、

睡蓮ができるまでの話も魅力的。