やっぱさ、どうしたって好きなんだね。
急いで山口さんのところに行ってさ、カフェで考え事をしている姿を見てさ、
あー、久しぶりに顔を見れたなーって。
ちょっと疲れた顔をしながら、仕事の構想をあーしよう、こーしようって練っていて、
俺が着いても、そっちに集中してて俺のことなんてほぼ(完全にかな)眼中にない感じだけど、
それでもすごくうれしかった。
山口さんの仕事の話は、俺には難しい。
もう考えている次元があまりにも違い過ぎて、へーとしか言えない。
でもね、そんな俺に、
今こういうことを考えていて、ここをこうするともっと良くなるとか、
次に新しい企画が控えていて、これをどう軌道に乗せようかとか、
そんな話を噛み砕いて話してくれる。
これがすごくうれしかった。
俺なんかでは、何も参考になる意見なんて言えないし、背伸びして知ったかぶりをしたって、
すぐにバレるだけだから、へー、とか、ほー、とか、言うだけしかできないけど、
そういう話をしてくれることがすごくうれしかった。
一段落して、『新しい家、見てみますか?』と。
「やったー!見たい!見たい!」とはしゃぐ俺。
お邪魔してきました。
間取り図は見せてもらっていたけど、やっぱりすごい。
広いし、スタイリッシュだし。
そのときね、
いや、そのときじゃなくて、ずっと思ってはいたけど考えないようにしてたこと、
世界が違いすぎるのかなって。
仕事。
地位。
収入。
人脈。
俺の次元と全然違うところで成り立っている人。
そんなことは関係ないって多分人は言う。
それと心は別ものだと。
俺もそう思う。そう思いたい。
でもやっぱりあまりにも違い過ぎると感じてしまう。
だから、俺のことを好きになってもらえたら多分飛び上がって喜ぶけど、
ただ、年下の若い男とたまに遊ぶくらいの感覚なんじゃないかって、そう感じてしまうことがある。
したたかな人なら、玉の輿って思ったりするのかな。
甘えちゃおう~ってうまく立ち回れるのかな。
でも俺はそれが嫌だと思った。
金なんて関係ないって。気持ちなんだって。
対等でいたいって。
仮に山口さんが仕事をフイになったって言ったら、俺が食わせるって思う。
むしろ今の仕事じゃなくなったら、もっとたくさん会えるんじゃねーかって身勝手に考えもする。
今の仕事をしてる山口さんだから好きになったわけじゃない。
でも今の仕事があったから、今の山口さんがいるんだと思うと、
それは山口さんの今までの努力を、俺がないがしろにすることになるから、決して言わない。
そんなことを考えては押し込めていたけど、このときまたその気持ちが出てきたなぁ。
ま、家族でもなければ恋人でもなく、
ただ俺の一方通行の片思いのくせに、どこまで考えてんだって話なんだけどさ。へへ。
外を眺めながらお茶してて、俺の今後の話になった。
どうして引っ越したのかと。
あまり質問をしない山口さんも、このときは俺が答えるまで発言しない様子だったから、
恥ずかしながら今後の自分の展望を話した。
たぶん笑われる。は?本気で言ってんの?そんなやつとは会う気にもならん。
そんな風に言われても仕方ないだろうし、ある程度覚悟してた。
『へー、そうなんですか。そういうことでしたか。
いいじゃないですか。頑張ってください。』
って言ってくれた。
それだけでは食っていけるような段階ではないから、フリーターのような生活をしなければならない俺に、
山口さんがそう言ってくれた。
うれしかったし、ホッとした。体が軽くなった。
その後、ソファでごろごろしてた。
山口さんも近くに来て、俺の腹の上に頭を乗せてきた。
なんか甘えてくれてるみたいでうれしかった。
それからイチャイチャした。
お互いの服を脱がせて、気持ちいいことした。
シャワー浴びてなかったから、山口さんに嫌な思いをさせたくなかったから、
最後までは断った。別に気にしないのにって言われたけど。
そんで暗くなるまでギュってして、山口さんは仕事の時間。
駅まで一緒に行ってバイバイした。
すごくうれしかったけど、また彼の気持ちが分からずに戸惑う自分。
俺っていったい・・・。
そして実家に戻って冷静に考える。
引っ越し準備何もしてないんですけど!
明日業者の人来ちゃうんですけど!
本日徹夜なり。