『上場気流』跡地。

『上場気流』跡地。

昔々、サイトで書いていた拙作を読み返したくて立ち上げました。
『サイボーグ009』の002ことジェット・リンクと、オリキャラ『神崎飛鳥』を中心に展開しています。

Amebaでブログを始めよう!

ジェットと飛鳥の基本的な設定です。

私は原作から『サイボーグ009』もジェットの事も大好きでしたが、1979年にスタートした『新ゼロ』のジェットこと、『野田ジェット』にハートを撃ち抜かれてしまいました

それ故、基本的に私の書くジェットは『新ゼロ』基準なのですが、『5歳の雪の日に母親に捨てられた』設定を組み込んだら、その後発行された『平ゼロ』のムック本で『ジェットは母親に捨てられた』と書いてあったの読んだ時には『😱』でしたわ

でも、設定変えないけど。(笑)

『新ゼロ』基準なので、年齢は22歳、身長183センチ、体重75キロ

そして髪の色は絶対オレンジ、瞳はブルー

譲れません。щ(゚Д゚щ))

あと、何故かジェット、アニメ化の度に色々弄くられて、『新ゼロ』では『プエルトリコ系の移民』(アニメージュより)と、されていますが、『生まれも育ちも根っからのニューヨーカー』これも譲れません。щ(゚Д゚щ))


飛鳥にはモデルが居ます

外見だけモデルにしたつもりが、本家の後付け設定とこちらの後付け設定が、シンクロしていって恐くなりましたね

飛鳥は5歳の時に亡くなった父親が日本人の科学者で、行方不明、生死不明の母親がヨーロッパ系のダブル(今はこう呼ぶそうですね)です

ハニーブロンドのボブショート

琥珀色の瞳

肌の色は空けるように白く、肌理も細やか

身長163センチ、体重48キロ、17歳

フランソワーズと同じ歳でフランソワーズより小柄です

3歳からBGの基地で育ち、父親死亡後のIQテストで『天才』と知られ、それからメンバーと基地を脱出するまで、ただただ勉強だけの毎日を過ごしていて、ギルモア博士が出会った時には、既に感情などもない『生きた人形』状態だった

メンバーの皆のお陰で自分を取り戻した

皆の可愛い妹分


「こんにちは、カワイイアヒルさん。
時間どおりに来てくださったのね」
 飛鳥のクィーンズイングリッシュを、
一瞬ジェットの会話装置は翻訳出来なかった。
「おい、なにを…」
 リビングから玄関に向かえば、飛鳥の足元には、
まるで田舎のお婆ちゃん…の様な、いでたちの一羽のアヒル。
 ショールをまとい、いかにも礼儀正しげだ。
「なんの冗談だ?」
「うちに家政婦に来てくれたんですって」
 飛鳥が嬉しそうに微笑んでいる。
「よく言うぜ。またこんなロボット作って…」
「失礼ですが」
 凛とした声が、飛鳥の足元からした。
 ジェットが視線を降ろせば、アヒルがじっと鼻眼鏡越しに
こっちを見つめているではないか。
「私はロボットではなく、正真正銘のアヒルです。
メールで私にご依頼くださった、ジェット・リンクさまですね?」
 ジェットの目が点になる。

 体調を崩した飛鳥を連れて、
この田舎町に来たのはつい二週間ほど前のこと。
 最初はジェットで何とかなったが、
さすがに細かいところまで手が回らない。
 おまけに飛鳥の病気には、
三度三度栄養バランスの取れた食事が必要だった。
 だから、住み込みの家政婦を雇おうと言うことになったのだ。
 小さな町だが職業斡旋所も有るのでそこに申し込み、
駅前のフリー掲示板に張り紙などし、何人か面接をしたが、
どうも帯に短したすきに長しでピンと来ないのだ。
『さて、どうするか…』と、
ある日ジェットがパソコンで検索を掛けると、
この町がある地域限定で、
住み込みの家政婦をお受けしますと言うブログが見つかった。

 マスターの名は、『ローズマリー』。

 飛鳥の病状と、こちらの条件をメールすると、即日で
『そちらの都合の宜しい日に面接に伺います』という返事が来た。
 それで、確かに今日のこの時間を指定はしたが…。
「俺は人間に依頼した気だったんだが…」
 肘掛けイスに深く腰掛け疑いのまなざしで、
ジェットがテーブル向こうのソファの上に、
更にクッションを積んだ上に座ったローズマリーを見つめた。
 家の中に入れる前に、
一応郵便物などをチェックする金属探知器で調べたが、
反応は無かった。
 おまけに触った感触、重さは、まさに本物。
 冗談めいた夢を見ている気分で、
ジェットはローズマリーを中に通したのだ。
「前のご主人さまもそう仰いましたよ。
作家さまで、私をモデルに作品を書いてくださいました」
 その言葉に、
『お茶くらいは出来る』と運んできた飛鳥が瞳を輝かせる。
「やっぱり、あの世界的ベストセラーのローズマリーなのね?」
「知ってるのか?」
「いやだ。
あなただってシリーズ中の何冊かは買ってきてくれたじゃない!」
「中までは読んでねぇからな。
そう言えば、アヒルが表紙のシリーズが棚に並んでたな。
マジであれのモデルなのか?」
「ええ、そうですわ。奥さまは読書家でいらっしゃるのですね?」
飛鳥がお茶を置くと、「済みません」と、礼儀正しく礼をした。
「え、いえ、その、まだ結婚は…」
 紅くなる飛鳥に、ローズマリーが、好意的な笑顔を向けた。
「何しろ三度のメシより活字が良いという奴だ。
その上体質で小食と来てる。
とうとう貧血でぶっ倒れちまったんだ」
 左隣の別の肘掛けイスに座った飛鳥を、ジロリと睨み付ける。
「だって、沢山食べると気持ち悪くて…」
「拒食症なのですか?」
「いいえ、必要カロリー以上摂れないと言うだけで、
『拒絶』しているわけではないんです…」
「お食事は、なんでも召し上がられますか?」
「ええ、お友達が国際色豊かなので、
何処の国のお食事も大好きです」
「でも、一番は和食ですわね?
お名前から察するに日系のようですし」
「まあ、アメリカ風もキライじゃないが、一番は和食というタイプだな」
 飛鳥に代わってジェットが答える。
「最近和食を勉強したところなので、是非腕を奮わせてください。
貧血にはまず規則正しい生活と、
栄養バランスの取れたお食事ですわ」
「いつから働いてくれる?」とジェット。
「まず何日かお試し期間を置いても宜しゅうございますが?」
「ああ、それも……いや、わりぃが今すぐ働いてくれるか?
見ろ、こいつの目」
 言われてローズマリーが飛鳥を見れば、
憧れのスターを見る少女のような瞳をしていた。
「で、では…」
「住み込みのお部屋ですね!本に書いてあったとおり!!
どの部屋でも好きなのを使ってください!!」
 興奮も最高値に上がったらしい。
「荷物は持参した物だけですから、今すぐにでも働けますが、
旦那さま、その私を見るときの、殺気はどうにかなりませんか?」

「!」

 言われてみれば、
いつの間にかローズマリーのペースに丸め込まれてはいたが、
『もしやBGのスパイでは?』と言う疑いは消しきれなかったらしい。
「わりぃ、こっちも事情があってな」
「と、仰いますと?」
「それに関してはノーコメントだ。
そこの部分がここに居る限りは出ねぇだろうし、
出たときは俺たちがこの家を去るだけだ。意味分かるか?」

『詮索は無用』  

 ジェットの無言の迫力に押され、
ローズマリーも、やはり無言でお茶を一口飲んだ。
「承知いたしました。その条件でお仕事させていただきます」
「嬉しい!早速家の中を案内…」

「座れ!!」
「お座りになっていらしてください!!」
 勢い良く立ち上がり掛けた飛鳥が、
ジェットとローズマリーにどやしつけられ、
肘掛けイスの中で小さくむくれた。



 この別荘は、本来グレートの友人の持ち物なので、
勝手に手は入れられ無いが、それなりに部屋数は有る。
 食料庫の食料なども、自由に使って良いと言ってくれた。
 ジェットの案内で家中を見て歩いたローズマリーは、
結局ジェットと飛鳥の使っている寝室から、
一番離れた一番小さな部屋を選んだ。

『夢だ!』ジェットはそう確信して寝室を出た。
『慣れない家事であんな夢を見ただけだ!今日こそ家政婦を…』
「おはようございます~」
 しかしキッチンに入れば、エプロンをした白いアヒルが一羽、
木で出来た長い四本足の丸いイスを足場代わりに、
せっせと朝食の仕度をしていた。
「奥さま…じゃなかった、飛鳥さまはまだお休みですか?」
 どうやらこれは夢ではないと腹をくくり、
ジェットはこの世界の住人になることに決めた。
 そうでなければやっていけない。
「ああ、昨夜興奮して眠れなかったみたいだしな」
「本当ですかぁ?」
 疑いのまなざしが飛んできた。
「何が言いたい?」
「寝られないようなことを夜中までしてらしたのでは?」

 しばし間が空いた。

「ここに居る間は、あいつは抱かねぇ。
だからそっちの用意もしてなきゃ、煙草も持ってきてない」
「あら?」
「なんだ?」
「だったら今朝私が、
お庭掃除のついでに洗車した車から見つけた、
この紙袋は…なんでしょう?」
 じと目で大小二つの袋を取りだした。
「!!!」
 ジェットの口が信じられないと開いた。
確かにしっかりとトランクの一番奥に隠して置いたのに。
「婚約者さまがご病気だというのに、こんな物用意されて…」
 信じられないとばかりに深い溜め息を吐いた。
 それを聞いたジェットの顔色が変わる。
「ロ、ローズマリー!!」
「没収させていただきます」
「い、いや、煙草は勘弁。あいつが寝てる間に外で喫うから」
「いけません」
「なに?」
「飛鳥さま同様、あなた様の健康管理も私の仕事の一つ!
飛鳥さまがもっと落ち着かれるまでは、
預からせていただきます!!」
「こんの…」
 竜虎の戦い、今始まらんと言うときだ。
「おはよう…」
 パジャマのままで飛鳥が起きてきた。
「おはようございます」
「良く眠ってたな、気分はどうだ」
 二人(?)とも最高級の笑顔を浮かべた。
「怠いわ…」
「リンゴでフレッシュジュースをお作りしました。
お二方ともまずそれをどうぞ。
朝食は胃が目を覚ましてからお出ししますね」
「食べたくない…」
「では、これはいかがです?」

 ローズマリーがミニボウルに注いでくれた物は。

「お味噌汁?」
「冷蔵庫にお味噌があったもので、ジャガイモで作ってみました。
今日はお出汁は市販の物ですが、
近い内にジェットさまに日本食材店で
煮干しを買って来ていただきましょうね」
 絶対飛鳥が日本の物が恋しくなると、
ジョーがあれやこれやと箱に詰めてくれたのだ。
 さすがに煮干しまでは入っていなかったが。
「ありがとう…」
 イスに座った飛鳥が、
ゆっくりと冷ましてから一口すすった。
「いかがです?」
「美味しいわ。ありがとう、ローズマリー」
「お口に合って宜しゅうございました。実は何がお好きですか?」
「大根と油揚げのが好き」
「アサリなどはいかがですか?」
「採れるの?」
「さすがにこの町では無理でございますが、
海辺の村に行けば潮干狩りが出来ますよ」
「ジェット!行きたいわ!!」
「もうちょい顔色が良くなったらな。
せめて一週間くらいまともなメシ食ってからにしろ」
 飛鳥の右隣、
ローズマリーを正面から見張れる位置にジェットが座った。
「ジェットさまにはこちらをご用意しました」
 飛鳥の前に白米やゴマ和えや卵焼きを並べた後、
そう言ってジェットの前には、
大きなマグカップになみなみと入ったブラックコーヒーと、
サラダにベーコンエッグ。
 とどめがニューヨーカー御用達のベーグルと来た。
『見た目には騙されねぇぞ』とばかりに、
クリーム状のチーズを間に塗ったベーグルをかじる。
 数回の反芻の後飲み込むと、照れくさそうにこう言った。
「ローズマリー…」
「はい、何でございましょう?」
「このベーグルお前が焼いたのか?」
「はい、お嫌いでしたか?」
「もっとくれ。
それと、こいつの調子が良くなったら教えてやってくれ」
「承知いたしました~」
 語尾に音符マークが着いていそうな返事だった。
 どうやら邸内は、完全に、
この高級で高額取りの家政婦アヒル、
ローズマリーのリズムで回ることが決まったようだ。



「牛乳が飲めると言うことは良いことですよ」
「なぁぜ?」
「歳を取ると、なぜか冷たい牛乳が
飲めなくなる方がいらっしゃるんですよ。
それまで平気だったのに」
「本当?」
「ええ。女性は三十代に入ると
ホルモンバランスが崩れますからねぇ。
身体を冷やすことも大敵になって来ますし…」
「そうね、三十代後半に入ると
婦人病には気をつけなきゃいけないし」
「おや、お詳しい。ナースの玉子さんですか?」
「えっ?ええ、まあ、そんなものと思っておいて…」
 苦笑する飛鳥を、ローズマリーがしげしげと見つめた。
 女二人(?)で日溜まりの中、洗濯物を畳む午後。
「契約ですから、深く推測はいたしませんが、
お二方ともどうやら大変な生き方をしてこられたようですね…」
 小物担当の飛鳥が、しばし靴下など畳んでから、口を開いた。
「私たちはね、どっちも五歳からは親の愛情を知らずに育ったの。
彼はある大きな都会の廃屋の前に、
雪の日に母親に捨てられたんですって。
名前と誕生日と年齢の書いた小さなメモだけが、
ポケットに入っていたそうよ…」
「では、ジェット・リンクというのはご本名で?」
「ええ、彼の名よ。でも、身元を知られないように、
母親が嘘の名前を書いた可能性が高いわね…」
「『ジャイアンツ』の登場人物と同じ名前だなんて、
偽名だと思っておりましたわ」
「あら、『ジャイアンツ』見たこと有るの?」
「ええ、前の前の…どのご主人さまだったかしら?
一緒に拝見しましたよ」
「さすがに博識ね。ねえ、今度釣りを教えてくれない?
得意なんでしょう?」
「本格的に熱くなる前に行きましょうね。
でも、その前に、アカンベェしてご覧なさい」
 飛鳥が右手で下瞼を引き下げる。
 お行儀悪く、舌を出したりはしない。
 溜め息の後にローズマリーが言った。
「白いですねぇ。鉄剤はちゃんと服んでおいでですか?」
「服んでるわ。早く元気になりたいもの…」
「今夜はレバーを煮ましょうね。和風にショウガとお醤油で。
正しジェットさまがちゃんとお買い物してきてくださったら…ですが」
「大丈夫よ」
 車が家の前で止まる音がした。
「ジェットかしら?」
 ソファーから立ち上がった飛鳥が、窓から駐車場を覗いた。
「ジェットよ。凄い買い物、手伝わなきゃ」
「ちゃんとまともにお買い物して来てくださったんですかねぇ」
「大丈夫、食材に関しては、五月蝿い先生がお友だちに居るから」
「…」
 嬉しそうに歩いていく飛鳥の後ろから、
何か考えつつローズマリーも着いていった。



「これで良いか?ローズマリー」
 キッチンテーブルの上に、ジェットがこれでもかと荷物を並べた。
 静かな場所を選んだは良いが、
町まで車で2、30分も掛かってしまう。
その為に1週間分をまとめ買いするのだ。
「はい、結構ですよ。
飛鳥さまのお薬は戴いてきてくださいましたか?」
「ああ、貰ってきた。飛鳥、次は血液検査に来いとさ」
「ああ、そうね。そういう約束だったわね…」
「二週間後でしたね、しっかり栄養摂りましょうね。
そうそう、お荷物が届いていましたよ、ジェットさま宛に」
 ローズマリーが差し出した小振りな小荷物。
 差出人はハインリヒだった。
「なんて書いてあるの?」
 中に入っていたメモを読むジェットの、
左隣から飛鳥が覗き込む。
「『もし美味いコーヒーに飢えているなら、飲め。
飛鳥には今はカフェインは厳禁だろうが、
治ったらこっちを褒美に煎れてやれ』だとさ」
 ハインリヒのオリジナルブレンドの豆と、紅茶の缶。
それと小分けして貰ったらしい小袋が入っていた。
「モカのようですね」
 テーブルに置かれた小包の中を、ローズマリーが覗き込む。
 小袋に小さくコーヒー名がメモしてあったのだ。
「ローズマリー、モカジャバ煎れられる?」
「勿論でございますよ」
「嬉しい!最近煎れて貰って、
やっとコーヒーって美味しいんだって思ったの!!」
「厳禁と言うことはありませんが、
飲まないに越したことはないと思いますよ。
でも、次の血液検査の結果を見て良好なら、
午後に煎れて差し上げましょうね」
 朝食後に薬を飲むため、
午前中は一切カフェイン系は口にしていないのだ。
「ローズマリー!ありがとう!!大好き!!」
 飛鳥が思いっ切りローズマリーを抱きしめたものだから、
彼女が悲鳴を上げ、ジェットが慌てて引き剥がした。



 二週間後の血液検査は、日本から持ってきたデータや
初めて行って検査した数値と比べ、
改善されているという数字を出した。
 だが、まだ治療は続けなさいと言うことになり、
飛鳥はまたもや二週間分の薬を処方された。
「ただいま~」
 フラフラで玄関を通りすぎた飛鳥は、
そのまま二階の寝室に上がっていった。
「やはり、まだお車はお疲れなのですね…」
「行きはともかく帰りは寝てたからな。
夕飯まで寝かしといてくれ。買い出しはしてきたぞ」
「ご苦労様です」
 またもやキッチンテーブルに荷物をジェットが置くと、
ローズマリーが冷蔵庫に入れる物と
貯蔵庫に入れる物をより分ける。
 イスに座ってそれを見ていたジェットが、思い切って口を開いた。
「なあ、ローズマリー…」
「はい、なんでしょう?お茶をお煎れしましょうか?」
「いや、茶はいい。ちょっと相談に乗って欲しいんだ」
 それを聞いたローズマリーが、目を丸くする。
「私にでございますか?」
「ああ…」
「せっかくの食材、片付けてからで宜しいですか?
痛んでしまいます」
「ああ、良いぜ」
「では…」
 テキパキと片付けてしまうと、
何とローズマリーは煙草が喫える仕度を整えてくれた。
「禁止じゃなかったのか?」
「無いとお話しできない雰囲気でしたので…」
「賢いな、お前…」
「ありがとうございます」
 まず一本喫って、
二本目に火を点けてからジェットが話を切りだした。
「飛鳥をどう思う?」
「かなり特殊な育て方をされましたね?」
「根拠は?」
「一般常識が無さ過ぎます。
別の国で育ったと言っても、頓珍漢な受け答えが酷いです」
「あれでも、まだマシになったんだぜ。他には?」
「お母さまという存在無しにお育ちですね?
お父さまのお話しか出てこられません」
「当たり。行方不明の生死不明だ。そこでなんだが…」
「はい?」
「あいつにもうちょい自信着けさせてやるのに、
協力してくれねぇか?
それでなくともあいつ、自分には魅力がねぇって思ってるんだ。
酷い話し、俺にもっと相応しい女が現れたら、
今の関係から身を引く気なんだ」
「あなたはどうなのですか?」
「うん?」
「そんな女性が現れたら、飛鳥さまと別れられるおつもりですか?」
「いいや」キッパリとジェットは言った。
「今までいろんな女と出会ってきた。
だが、あいつほどに惚れた女は居ない。
あいつ以外はもう愛せない」
「生涯の伴侶に…と、お思いなのですね」
「ああ。だが、今のままだと、ちょっとな…」
「支えるだけの愛は長続きしませんよ。
飛鳥さまがいざというとき、
あなたさまを支えられるだけになられませんとね」
「そう言うことだ」
「分かりました。まずは、お料理教室から始めましょうか」
「済まねぇな。頼むぜ」
「承知いたしました。しかし、ジェットさま?」
「なんだ?」喫い終わった煙草を灰皿で揉み消す。
「宜しいんですか?そんな大事なお方を私に託して…」
 ジェットがフッと微笑んだ。
「この二週間でお前さんの人(?)柄は掴んだつもりだぜ。
家の中も外も見違えるようにきれいだし、
さすがに良い腕してらぁ。あんたならあいつを任せても良い」
「まあ、お世辞を言ってももう一つの袋は渡しませんよ」
 ローズマリーがわざとらしい笑い声をあげた。
 そんなつもりで褒めた訳ではないが、
このチャンスを逃すのも惜しい。
「小袋一つ!」
 妥協案を出した。
「だ・め・で・す!!」
「鬼ぃ!!」
 まるで、母親と息子の喧嘩だ。
「飛鳥さまが心配だから言ってるんです!!」
 ツンと振り向いて、灰皿を片付けに掛かる。
「ドケチ婆ぁ」
 ジェットとしては小声で呟いたつもりだったが…。
「ジェットさま!!」
 何か重い物が飛んできて当たった、すさまじい音がした。



「何やってるの?」
 庭の木陰に座り込み、
変形したフライパンと金槌で格闘しているジェットを
飛鳥が覗き込む。
「元どおりとは行かなくても、
目玉焼きが焼けるように直せと言われてな」
「ローズマリーに?」
「ああ」
「新しいの買った方が早くはなぁい?
確かここを借りるときに、そう言う条件じゃなかった?」
「これはドイツ製の一流品だ。届くまでの代用品が必要だとさ」
 ああ、なるほど…という顔をすると、「頑張ってね」と言って、
飛鳥はジェットの頬にキスをした。



 翌朝。
 ローズマリーに叩き起こされるまで、ジェットは眠り込んでいた。
 しかも、飛鳥のベッドで。
 せっかくなんとか平らに直ったフライパンが、
またもや変形したのは言うまでもない。
 ジェットは「ただ一緒に寝ただけだ!!」と、『無実』を主張したが。



「おや。絵を描くご趣味も有ったのですか?」
 数日後、ジェットが買ってきた荷物の中に、
スケッチブックや色鉛筆が入っていたのだ。
「ええ、私が。でもまだ下手で、人には見せられないんだけれど…」
「でも、頼まれたと言うことは、
だいぶ気分が良くなってこられたのですね?」
「だって、寝てるだけで、暇で。
パソコンは触っちゃダメ、本は読んじゃダメ、
紅茶も止めておけなんて…」
「飛鳥さまは、今はご病気なのですよ?養生しなくては…」
「でも、せっかくローズマリーがお料理教えてくれても、
失敗ばかりしてるし…」
「誰でも最初から上手な人は居ませんわ。
そうだわ、飛鳥さま、キルトなどチャレンジしてはいかがです?」
「キルト…って、何?」
「端切れなどを手縫いで縫い合わせて、クッションカバーや、
大きな物になるとベッドカバーやタペストリーを作れるんですよ。
絵のご趣味があるのなら、イメージ画を描いてみてはいかがです?」
「でも…私に出来るかしら?」
「教えて差し上げますわ。
ああ、こんな事ならジェットさまに、
本か雑誌を買ってきて戴けば良かった」
 残念だと溜め息を吐くローズマリーに、
イスに座って休憩していたジェットが、
キーをチャラリと鳴らして立ち上がった。
「えっ?ジェット、何処に行くの?」
「町まで雑誌を買いに行ってくる」
「今度で良いわ。今戻ってきたところなのに!」
「ジェットさま、ついでに手芸用品店に行って、
キルトの基本セットを買ってきてくださいませ~」
 満面の笑顔。
 だがその下には邪笑いが隠されているに違いない。
「俺に女子どもの専門店に行けってかっ!?」
「生地が有った方が、
飛鳥さまもイメージしやすいと思ったのですが…」
 エプロンの端を羽で持ち上げ、うっすら涙まで浮かべる。
 こう来られては動かないわけにはいかない。
「基本セットだな?」
「はい。ああ、飛鳥さまは、ソーイングセットはお持ちですか?」
「えっ?携帯用セットなら…」
「だ、そうですわ、ジェットさま」
 今度も語尾に音符が着いていた。
『飛鳥に自信を着けさせてやってくれ』、そう頼んだのはこっちだ。
 ジェットはキーを握った手を、
フルフルと奮わせながら出かけていった。
「次の買い物の時で良いのに…」
「思い立ったが吉日と申しますでしょう?
私が作ったキルトで宜しければご覧になられますか?
部屋に飾ってありますの」
「見せて!!」
 飛鳥の瞳が小さな子供のように輝いた。



 2時間ほどして、ジェットが雑誌やら
木製のソーイングボックスやらを買い込んできた。
 飛鳥がスケッチブックを広げていた、
リビングのテーブルの上に、荷物を下ろす。
「店員に散々からかわれたんだぞ!
『奥さまのためにベビーキルトの材料を
調えて差し上げるなんてお優しいですね』
とか何とか言われて!!」
 そうは言っているが、基本セットも
色違いを何種類も買い込んで有るではないか。
 飛鳥が通っている病院は、一通り何でも診る主義なので、
どうやら外国から新妻をお産のために連れてきた、
裕福な夫婦という噂が立っているらしい。
「ベビーキルト?」
 怪訝とする飛鳥に、ローズマリーが雑誌のページを捲った。
「ほら、これですよ。日本で言うところのおくるみですね」
「おくる……私、妊婦さんに見えるの?」
 飛鳥が自分で自分を指差して焦る。
「身体に負担を掛けない、
ゆったりした服装でいらっしゃることが多いからですよ。
買い出しもほとんどジェットさまがお一人でですし、
生理用品は日本から持参されてますしね」
「だって、外国製は使い勝手が違うって
お友達が教えてくれたから、先に小包で送ったの。
妊娠の誤解は、今度ジーンズで一緒に町に行くわ。
ごめんなさい、ジェット…」
「良いって、無理するな。
ローズマリー、わりぃ、なんか冷たいヤツ入れてくれ」
 飛鳥の右隣にドカリと座り込む。
 二回往復での買い出し、さすがに疲れたらしい。
「麦茶とバドがございますが?」
「バドくれ!バド!!」
「はいはい」
 クスクスと笑いながらローズマリーがキッチンに向かった。
「ごめんなさいね、疲れたでしょう?」
「褒美くれるか?」
「何が良いの?」
「思いっきり優しいキス一つ」
「これで良いの?」
 立ち上がった飛鳥がジェットの両肩に手を掛け、
そっと触れるだけのキスをした。



「ジェット!お願い!車出して!!」
 ああでもない、こうでもないと
休み休みデザインに熱中していた飛鳥が、
ある日の午後、突然強請ってきた。
「なんだ?」
 肘掛けイスで新聞を読んでいたジェットが顔を上げる。
「生地がぜんぜん足りないの!
裏地も欲しいし、糸も無いし、たまにはドライブしたいし!!」
 早い話が『遊びに連れて行け』と言っているのだ。
 体調がハッキリしないので、
春から初夏に掛けての潮干狩りの季節は動けず、
庭か家の回りを散歩するだけで、
遂に我慢も限界に達したらしい。
「気分は?」
「良いわ!!」
「ローズマリーの意見は?」
「食欲もございますし、街までお買い物に出て、
何か甘い物でも召し上がって来られてはいかがです?」  
「良いの?ローズマリー…」
「ええ、結構ですよ。楽しんでいらっしゃいまし」
「ありがとう!着替えてくるわ!待っててね!!」
「薄地の上着を忘れるなよ」
「は~い」
 ウキウキしながら二階へと上がっていった。
「本格的に熱くなる前に体調が安定してようございました」
「日本の猛暑に比べたら、こっちは涼しいもんだ」
「それはそうでございましょうが、
やはり夏の暑さはご病気の身体には大敵ですわ」
「まあな」
「次は釣りに連れて行ってと来られますよ、お約束しましたから。
ジェットさまは釣りはお得意ですか?」
「いや。出来なくはないが、
得意なヤツが居るからそいつに任せてる」
「ああ、アフリカのお友達ですね?
それとも中華の大家の方かしら?」
 その言葉にジェットが怪訝となり、
ローズマリーがハッと両手(?)でくちばしをおおった。
「飛鳥に訊いたのか?」
「は、はい。お優しいお友達が多くて羨ましゅうございますわ」
 飛鳥にしては軽率すぎる…とジェットは思ったが、
丁度仕度を終えた飛鳥が下りてきたので、
あまり深くは考えなかった。



 飛鳥が休み休み針を動かし、
肩をほぐしているのを見てはジェットが優しくマッサージする。
 そんな日々が穏やかに続いた。
 定期的な血液検査も少しずつ結果が良くなって行き、
約束どおり全員で海辺の村まで遠出し、
釣りとバーベキューを楽しんだ。
 元々色白だが、それを通り越して、
まるで『あの島』を脱出した頃のように青かった飛鳥の頬も、
どうやら人並みな白さに戻った。
 ローズマリーにくっついて家事を覚え、
ある日全部一人で夕飯を作ってもみた。
「どう?」
 自分のイスに座った飛鳥が恐る恐る訊ねる。
 さすがにパンはローズマリーが焼いたが、
ロールドポークとカボチャのチーズ焼きに
野菜のペペロンチ-ノとミモザサラダは飛鳥が作った物だ。
 ジェットにはバド、ローズマリーにはワインが着いたが、
下戸の飛鳥は麦茶だ。
「あの味音痴が良くここまで作れたもんだ」
 隣りに座るジェットが感想を述べる。
「美味しいの?美味しくないの?」
「美味いぜ。帰ったらみんなが驚くだろうな」
「ローズマリーは?」
「美味しゅうございますよ。良くここまで頑張られましたね」
「ありがとう、全部ローズマリーのお陰よ…」
 涙ぐむ飛鳥に、「お前も食え」とジェットが勧めたが、
その前にタオルとティッシュが必要だった。
 思えば11人家族の食事をいきなり作れ…
などと言う方が無理なわけで、
まずはこういうこぢんまりした生活を経験させてやるべきだったのだ。
『自分だって、頑張れば出来る』
 飛鳥の中に芽生えた自信は、元々の美しさを輝かせ始める。
 一緒に買い出しなどに出れば、
怖い物知らずの男たちの視線が絡み付いたが、
ジェットの眼力に押され、声を掛けることは適わなかった。



 そろそろ秋の気配がし始めた朝。
 ローズマリーが静かに切り出した。
「ジェットさま、昨日飛鳥さまは、
『完治』したと言っていただけたのですね?」
「ああ。それがどうした?」
 飛鳥がハッと顔を上げる。
「私の仕事は終わりました…」
「ローズマリー!!」
 飛鳥が立ち上がって叫ぶ。
「短い間でしたが、お二方にお仕え出来て、楽しゅうございました。
そろそろお暇させていただきます」
「イヤよ!もう一ヶ月だけ!!お願い!!」
 飛鳥は懇願するが、ジェットはキッパリと言った。
「駄目だ」
「ジェット!?」
「昨夜博士からメールが来た。
体調が安定しているのなら戻ってきて欲しい、
そろそろ『仕事』だとな…」
「そんな…」
「諦めて、座って食え」
「もっと沢山教えて欲しいことがあったのに…」
「座れ、下手すりゃ最後の朝飯だぞ」
 渋々座り、泣きじゃくりながらも食事をした。
 それが、作ってくれたローズマリーへの、最大の感謝だからだ。
「荷造りが終わるまでは、お仕えいたします。
かなり荷物も増えたようですし」
「そうしてくれるか?」
「はい。ダンボールを手配しませんとね」
 ジェットとローズマリーがテキパキと打ち合わせをする横で、
飛鳥はただしょんぼりしていた。



 荷造りも済み、宅配屋が取りに来て去って行ってから、
ローズマリーが初めて来た日と同じ姿で現れた。
 飛鳥が珍しく足音を建てて二階に上がっていく。
「もう行くのか?」
「はい、後はお二人が手荷物を持って
空港に行かれるだけですから…」
「世話になったな…」
「満足に出来ませんで…」
「あんたは世界一の最高の家政婦だ」
「ありがとうございます」
「ローズマリー!!」
 飛鳥が駆け下りてきた。
「あのね、これ、急いで作って、その、本当はポプリを入れて
ポットクッションにしたかったんだけれど、
自分で作ったポプリが無くて、だから、あの、
ただの鍋敷きなんだけれど……良かったら、使って…」
 絆創膏だらけの指で小さな包みを差し出した。
 恐らく寝る時間を惜しんで作ったのだろう。
「飛鳥さま…」
 受け取ったローズマリーと両膝をついた飛鳥が、
しばし抱き合って泣き合った。
「お母さんみたいにいろいろと教えてくれてありがとう…」
「また貧血を起こさないように、
ちゃんと食べて、ちゃんと寝るんですよ。
ジェットさまの我が儘にも、負けてはいけませんよ?」
 飛鳥が無言で何度も何度も頷いた。
「お見送りは結構ですよ…」
 そう言ってローズマリーは外に出ていった。
 背の高い庭草の向こうに姿が消え、
それがしばらく揺れていたが、
やがて風の囁きしか聞こえなくなってしまった。



「すっかり元どおりに元気になって」
 戻ってきた飛鳥を見るなり、
フランソワーズが喜んで抱きしめてくれた。
「博士が有能な家政婦作ってくれたからですよ」
と、ジェットが言うと、博士が巨大な『?』を頭上に浮かべた。
「なんの事じゃ?飛鳥が
とても良い家政婦さんが来てくれたと連絡してきたではないか」
 その言葉にジェットが固まり、
慌ててスーツケースの中から写真を取り出す。
「こ、これ、博士が作ったんじゃないんですか?
博士なら、金属探知器をパスするロボットくらい、作れると思って…」
『どれどれどれ』と、一同が写真を見やる。
「ジェット、お前、アヒルが料理なんか作れるわけがないだろうが」
ハインリヒが呆れて溜め息を吐いた。
「だったら俺の作ったもんだけ食って、
飛鳥がこんなに元気になるのかよ!」
 それもそうかと、さすがのハインリヒも考え込む。
てっきり合成かと思ったのだ。
「あら、良いわね、飛鳥。あのローズマリーにお世話になったの?」
「ええ、とっても素敵な日々だったわ…」
 女性二人は現実としてローズマリーを受け入れている。
 こうなったら最終手段だ!
とばかりに、イワンに『鑑定』して貰ったところ…。
== 信じられないけれど ==
 あのクールなイワンが困惑を浮かべて言った。
== 正真正銘本物のアヒルだよ。
アヒルが粉こねて、針仕事……… ==
「うわっ!イワンしっかり!!」
 ジョーが慌ててクーファンから抱き上げる。
 どうやらイワンは脳がショートしたらしい。
「自然には、偉大なる奇跡が有るものだ」
 ジェロニモがしみじみと言った。
「飛鳥!毎日どんな物を食べてたアルか!?」
 張々湖の問いに、飛鳥が今後の参考にとメモしておいた、
食事の内容やレシピを書き込んだノートを見せた。
「中華風も有ったの事ね!
飛鳥!!どっちのが美味しかったアルか?」
 そう言われて飛鳥が困る。
「そんなの、比べられないわ。どちらも美味しかったし…」
 その言葉が張々湖に火を点けた。
「私、このアヒルと勝負したいアルね!!
ジェット、連絡するアルよろし!!」

 が、しかし。

 ローズマリーのブログは削除されていた。
 代わりにジェットと飛鳥宛にメールが一通。

『世界の平和のために戦っている方たちの、
その中のお二人のお世話が出来て楽しゅうございました。
ギルモア博士や皆さまに、宜しくお伝えください』

 しばし沈黙が流れた。

「どっちだ。第三者(?)にペラペラ喋ったのは」
 ハインリヒの問いに、ジェットも飛鳥も首を振る。
「俺は喋ってないぞ。
逆にBGのスパイじゃないかと疑っていたくらいだ」
「私だって、みんなの事を迂闊に喋ったりはしないわ…」
 二人とも嘘を言っているようには見えなかった。
「いったい何者(?)だ、このアヒル…」
 ハインリヒは苦悩した。
「勝負したいアル!ドルフィン号を飛ばすアル~!!」
 張々湖は地団駄踏んで悔しがったが、
みんなの定期メンテの時期と有って、
そんな我が儘は通せなかった。
 


「ねえ、ジェット?」
 荷物を整理しながら飛鳥が言った。
「なんだ?」
「ジェットさまの我が儘をきいちゃいけませんって、どう言うこと?」
 ジェットがギクリとなる。
「さ、さあ。なんの事だか知らねぇぞ」
「ふ~ん…」
 冷たい声にジェットが恐る恐る振り向くと、
飛鳥の手には大小の紙袋。
「『ジェットさまが隠し持ってらっしゃいました』ですって」
紙袋に着いていたのだろうメモを読み上げ、
ジェットを冷ややかに見る。
 柳眉が上がった。
「へえ、こういう物を持って行っていたの」
「有って邪魔な物じゃねぇだろうが」
「煙草はともかくこっちが?
私は酷いときはベッドから動けなかったのに?」
「だから、元気になったら出番が来るだろうが」
「ジェット?」
「な、なんだ?」
「最っ低!今夜は自分の部屋で寝て!!」
 ジェットは文字通り飛鳥の部屋から蹴り出されてしまった。
 どうやら飛鳥はローズマリーの強気なところも学んだらしい。
「飛鳥!」
 ジェットが必死にドア越しに訴える。
「私は病気だったのよ!!それなのに!!」
 飛鳥の声だけが飛び出してきた。
「病気だったから、それ以上の負担掛けさせたくなかったんだ。
その証拠にむこうでは、大人しくしてただろうが!!」
「……」
「飛鳥、惚れてるからこそ、欲しくても我慢してたんだぞ?」
 今度は優しく語りかける。
「バカ…」
「入れてくれよ…」
「私は明日もメンテの手伝いで地下にこもるのよ?」
「分かってる。お行儀良くしてるから、な?」
 ドアが静かに開いた。
「最初の二週間、あなた全部家の事してくれたのよね?
私は旅の疲れもあって一番具合が悪かったわ…」
「ああ…」
「あの時のお礼…しなきゃね…」
「さすがは俺の未来のカミサン」
 どちらからともなく抱きしめ合い、
ジェットは飛鳥の部屋に入れて貰えた。
 ローズマリーとはその後何度かメールのやり取りをしたが、

『新しいご主人さまが決まりました』

という文面の後、ピタリとその後は途絶えてしまった。
 張々湖は「勝負が~」と悔し涙を流したが、他の面々は、
飛鳥がローズマリーから教わって焼いた、クッキーを口にして思うのだ。

『生徒でこれだけ美味いんだから、
師匠が焼いたらどれだけ美味かろう…』と。


 優しくて、肝っ玉母さんなローズマリー。
 いつかひょっこりお茶の時間に訊ねてきておくれ。
 そうしてどうして
 自分たちのことを知っていたのか教えておくれ。


 午後のお茶の時間が来る度に、メンバーたちはそう思うのだった。


 ~ Fin ~   

BGM 『LOVE’91』 By チェッカーズ


『レンタル落ち、送料と後は娘さんの
お小遣い程度で回せます』と言って
チェッカーズを筆頭に山ほど回してくれたMさん。
存在すら忘れていた『LOVE’91』(初めて聴いた時は、
『これは『シルバー・アロー・シリーズ』のテーマ曲だ!!』
…と思ったっけ)をチョイスしてくれてありがとう。

そうして、いきなり音飛び激しく
『PCだとまともに聞けるのに~』と泣きついたら、
『送ってくださったら焼きますが?』と言ってくれたSさん。

走り書きを発見し「続き!続き!!」と
駄々こねてくれた娘に感謝を込めて。

ローズマリーについては牛島慶子作、
『フレッドウォード氏のアヒル』を参照してください。

女性はマジで貧血にはご注意を。
私もローズマリーに家政婦に来て欲しかった。
シクシク。

以下、移転時追記。

今も、数値が下がると鉄剤のお世話になっとりますが、
病院変えたら、お薬も朝のみから朝晩のに変わって、
なおかつ…。

「カフェイン?別に摂っても大して影響無いよ。(^^)」のお言葉。

そんな訳で、普通に日本茶がぶがぶ飲んでます。
流石に珈琲飲むときは、時間見ますけどね。(汗)

2010年1月2日(土)

ブログをスタートします。

今日は基本設定で精一杯かな?

暫らくパソコンも触ってなかったので、浦島太郎状態です。(^_^;)