久しぶりに
「まど みちお」さんの詩集を
読んでいたら
素敵な詩に癒されたり、ちょっと涙したり感動したり
2013年現在103歳を迎えられ
現在はアルツハイマーの為療養中との事ですが
それでも尚、あたらしい詩を、生み出している素敵な方だと思います。
まど みちおさんの
本名は「石田 道雄」ですが
若い頃ペンネームのつもりでつけたそうです。
「つけた途端に嫌になりまして・・・(笑い)
ところが恩師の北原 白秋先生が「いい名前じゃないか」と
おっしゃったので、それじゃ、このままでいいだろうと
それからずっと使っているわけです。
「まど」というのは家でも何でも、外に通じる
窓がなかったらどうにもなりませんね。窓を通して外の
景色をみたりします。そんな感じでつけたんです。」と・・・
まど みちおさんを知らない方も
あの「ぞうさん」「やぎさん ゆうびん」の
童謡を書いた人でわかりますよね

知らなかったけど、知っていたでしょう

その中から
何個か詩を載せますね
少し息抜き
少しニコッと
少しでも頑張ろう
って思っていただけると嬉しいな

「カニ」
カニがカニッとしているのは嬉しい
カニがそれを気づいていないらしいので
なおさら しみじみと・・・
ああ こんな私も私っとしていることで
誰かを喜ばせているのかもしれない
私がまるで気づかないでいるとき
いっそう しみじみと・・・
そう思うこともできるんかなあ
と私は私の胸をあつくさせた
このカニがカニッとの表現が良いでしょう

「ぼくがここに」
ぼくが ここに いるとき
ほかの どんなものも
ぼくに かさなって
ここに いることは できない
もしも ゾウが ここに いるならば
そのゾウだけ
マメが いるならば
その一つぶの マメだけ
しか ここに いることは できない
ああ このちきゅうの うえでは
こんなに だいじに
まもられているのだ
どんなものが どんなところに
いるときにも
その「いること」こそが
なににも まして
すばらしいこと として
「消しゴム」
自分が 書きちがえたのでもないが
いそいそと けす
自分が書いた ウソでもないが
いそいそと けす
自分がよごした よごれでもないが
いそいそと けす

そして けすたびにけっきょく
自分がちびていってきえて なくなってしまう

いそいそといそいそと
正しいと 思ったことだけを
ほんとうと 思ったことだけを
美しいと 思ったことだけを
自分のかわりのように のこしておいて

誰だって失敗したり、うっかりしたりする。
そんな人の失敗を、そっと消せる人になりたいな。
最後の2行が心に響きますね