カンボジアのいわゆるストリートチルドレンの話。
過酷な労働、貧困のなかで生き抜こうとする少年たちのコロニーが、ある殺人をきっかけに瓦解してゆく。仲間の裏切りと連続殺人を目の当たりにし、自らも傷ついた主人公はその謎を解こうとする、といったあらすじ。
雨に彩られた全体のトーン、差し込まれる逸話としての巨人の心臓あるいはゴーレムと魔法使いの話など、何層かにわかれたつくりは島田荘司のような物語運びさえ感じ取ってわくわく。
主人公を日本人に設定することで、客観的な語り部として一定の距離感をもって物語は進む。美しい文章と過酷な環境、仲間たちの悲惨な過去があらわになりながら崩れるように壊れてゆく連帯感と、不可避の死の山の描写は圧巻。
最後の方まで一気読みだった、が。
最後の数ページでものすごい違和感。
敵陣に乗り込む主人公がたまたま謎の第三者に遭遇し、その第三者が主人公をぱかぱか導いちゃうのである。いやいやそれはないよね、なんか最後にきて、この人と主人公の必然とかってなるんでしょ?いや、ひょっとして島田荘司の異邦の騎士みたいな?
とか思ったけどなにもなし。
カンボジア貧困層の描写といい政治的・社会的状況での書き込みといい、かなり念入りに丁寧に書かれていると思うし文章も美しいのだけれど、とにかく最後の謎解き部分で気持ちは失速してしまったかな、という印象。
いやいやもしかしたら、本作では脇役だけど次回作でこの人が実は、の、辻村深月パターンか?も、100歩譲ってなくはないのかもしれない。待ちましょう、次回作。
