読み終わった感想を一言で言うならば、ところどころに思い入れというか、例えば太宰治の心中についての作者のオリジナリティへのこだわりは感じられたものの、形式としては「貞子」の系譜に則った、かなり古典的な展開の中に、一元的に収まってしまったかなあ、と。
なんだろう、ルポルタージュ形式といった枠組みはしっかりしているのだが、対象がほぼ一名で終始していたからだろうか?すこし、シングルスレッド、というか、平坦な感じを拭えなかった。シナリオも基本一元的で、輻輳する部分もない。太宰治のくだりで、お、ここでもしや?と、猿丸幻視行とかそのへんを期待しすぎたのかもしれない。
表現などは、さすが映像作家と、ビジュアル映えのしそうなものがみられたが、それもまだ、手持ちビデオの映像をみせられる、ブレアウィッチ的な、計算的チープさをおそらくはあえて狙ったもので、物語に複数の層を与える、というものとはいえなかったと思う。
直感的な面白さと、最後にぱたぱたと展開を早める手法は悪くなかったものの、惜しい、という感じ。
なんか、化けそうな兆しはありつつも、星三つまで、かな。生意気いってすみません。次回作に期待。
