ちょ、ちょっとまってちょっと。と、読みながらなんども、自分の読書モラルというか凄惨耐性レベルを確認してしまった作品。

初の6冠達成!という帯に並んで、できればなんの先入観なしに読んでほしい、というポップも立っていて、どっちなんだ実際?とか思いつつ、瞬き3回で読み切った。

これ、いろんなところに刺さる小説だったなあ。3つの章構成からなる物語は、拷問に近い監禁事件から幕を開け、第2章で転じて全く違った連続事件へ。そして第3章ではその謎解きが。こう書くと普通に見えると思うけれど、第1章と第2章で描き出される女性の姿と第3章のそれがまったくぶれ、しかもそこに絡んでくる警察側の正義が一筋縄ではいかない。読みながら、きっとあるのだろう作者の仕掛けを深読みしすぎてもう、あっちいったりこっちいったり、である。

いや、おもしろいのだ。ページをめくるごとに陰惨・凄惨・悲惨と突き進む、惨状の波状攻撃に、すこししんどくはなったけれど、確かによく練られた作品だと思うし、アメリカでなくヨーロッパのきめ細やかテイストだなあ、とも思ったし。

最後まで読み終わってのあたしの開口一番は冒頭に置いた、ちょちょちょ!なのだが、さらには、「同調はしたいけど同意はしかねる」なのよねえ。うーん。
読み返したり大切に本棚に置いておきたいとは思えない。救われたような納得いかないような、とにかく微妙すぎる読後感。

これはね、あたしはむしろ、法律家に読んでほしいな。意見聞きたいよ。