- 神の火〈上〉 (新潮文庫)/高村 薫
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- 神の火〈下〉 (新潮文庫)/高村 薫
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何度も何度も、闇の海を行く一艘のゴムボートの夢を見た。
ボートに載せられた棺が白色の光芒の尾を引いている。
ボートは間もなく海面に群れる夜光虫の燐光に包まれ、次いで一面の燈籠流しの灯に包まれ、揚松明の火に包まれて送られていく。
そして最後に、突然、地の果てから天空に達する一瞬の閃光に包まれて炎を上げるのだ。
その、見たことのない爆発、見たことのない熱、見たことのない炎に目を焼かれながら、島田は<神の火…>と呟いた。