子供のうちに特に強くしつけておくべくは、清潔好きの感覚だ。
もちろんそれは、手を洗うことによって汚れや病気から身を守り、健康を保つことができるようになるからだ。
また、その清潔好きの感覚は、やがて他の精神的な面にも広まっていく。
つまり、盗みを働くことやその他の悪徳を汚れとみなす感覚へと高まりうる。
同じようにその子も、社会的人間としての節度、清純さ、温厚さ、よい品性などを好むようになるものだ。
こうして習慣となった清潔観念は潔癖さを呼び、生きていくうえで幸福になる要素や契機を自然にわが身に引き付けるようになるのだ。
漂泊者とその影
フリードリヒ・ヴィルヘルム・ニーチェ